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願望アプリ

第1章 願望アプリ

 次の日、中島は学校を休んだ。
 担任は風邪だと言っていたけど、理由は別にある。あれからずっと女子に追いかけ回されたから嫌になって休んだのだ。
 モテる男は辛いな、中島。


 相変わらず女子たちは、美晴ちゃんも含めてスマホに夢中だ。


 それにしてもリアルと混同するなんて、そんなにもアバターは本人にそっくりなのか?
 外見はそっくりでも、さすがに考えてることは同じじゃないだろうに。


「おう、田中。最近どうした? 質問しにこないけど、大丈夫なのか?」


 クラスで一番真面目な女子、田中さんに担任が話しかけている。そういえばよく田中さんは担任にわからない所を頻繁に聞いていた。


「大丈夫です。先生に教えてもらってますから」


 田中さんはスマホから目を離さず、担任にそう言った。


「そうか、他の先生に教えてもらってるんだな」


 どこか担任は寂しそうだ。


「何言ってるんですか、前田先生のことですよ? 毎日遅くまでつきあってくれて感謝してるんです」

「……え?」


 嘘だろ……。
 真面目な田中さんまで、願望アプリをやっていたなんて。
 しかも相手は担任の前田先生。
 遅くまでつきあってくれてるのは担任本人じゃないのに、田中さんまでリアルと混同してるのか?



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