禁断の夏合宿
第3章 陽子と佳奈
プールサイドには部員たちが整列していた。
部長の相川が
「よろしくお願いします」と声をだすと
全員が声を揃えて同じように復唱した。
『いいねえ…
やっぱり水泳部はこうでなくっちゃ』
ハードスケジュールの練習内容に
部員たちも
しっかりとノルマをこなしていった。
そんな時、ひとりの女の子が足を痙攣させた。
吉本はプールに飛び込み、
その女の子を抱き抱えて
プールサイドに引き上げた。
「足が痙攣するのは体力不足だぞ」
ふくらはぎの筋肉を伸ばしてあげようと
彼女の足の裏に手を添えて
グイグイと押し込んで上げた。
女の子は樋口陽子という部員だった。
「おい、樋口を医務室に連れて行くから
相川あとを頼むぞ」
腋にグッと腕を差し入れて彼女を抱き抱えた。
「私も同行します!」
樋口と仲の良い井上佳奈という部員も
吉本と樋口の後を追った。
「いいなあ…
先生にお姫様だっこしてもらって…」
佳奈が羨望の眼差しで陽子を見つめた。
プールから遠ざかると
待っていたかのように佳奈がそう言った。
「えへへ~、いいでしょ」
そう言って陽子は
吉本の首にギューっとしがみついた。
人気(ひとけ)のない
グランドの裏に差し掛かると
「先生、もう下ろしてくれていいわよ」と
陽子が言った。
「え?」
どうやら足が痙攣したというのは
仮病のようだった。
「私、昨夜の先生の…
見ちゃったのよねぇ~…
先生のオ・ナ・ニー…」
吉本と並行して歩いていた佳奈が
いたずらっぽく話し始めた。