禁断の夏合宿
第6章 リンチを乗り越えて
「先生は相川部長と
セックスをしたんですか?」
大変なことになっていると
吉本に告げにきた部員が
そのように口走った。
「な、なにを言い出すんだ」
思わず疾走する速度が落ちた。
その速度が部員の疾走する脚力と
シンクロした。
追いつき、並走しながらも
部員は吉本に詰問した。
「だって、3年生の井上先輩と樋口先輩が、
キャプテンを淫乱女だとなじって
私刑しはじめたんです!!」
その言葉を聞いて愕然とした。
バカな…あいつらなにやってるんだ…
プールサイドでは
育美が追い詰められていた。
「みんな!育美を素っ裸にしちゃおうよ!」
佳奈の号令に全員がプールに飛び込んだ。
群集心理とは恐ろしいものだ。
合宿という
普段の生活から隔離されていた若い女の子は、
少なからずストレスが溜まっていた。
彼氏に会えない。
好きなものが食べれない 。
テレビが見れない 。
それぞれがいろんなことに関して
ストレスを抱えていた。
なのに主将は若い男性教師と
SEXをしていた…
フラストレーションが爆発した。
女子高ゆえに
若い男性教師のたくましい体躯に
誰しもが憧れをもっていた。
教師と教え子という垣根があるものの、
全員が吉本に対して恋心を持っていた。
『なのに育美が独り占め?』
許せなかった。
せめてもの鬱憤のハケ口として
育美をいじめずにはいられなかった。