片恋は右隣
第4章 幸せになったらダメなんですか
週が明け、早起きしたわたしはクローゼットの中を物色していた。
久し振りに女性らしいラインの出るスカートを手に取り、髪もきちんとセットをする。
そうしながら、倉沢さんと過ごした先週末のことを頭に思い巡らせた。
金曜の夜は睡魔か過ぎた行為のせいか、早々に寝入ってしまったわたしだった。
起きてから────予想はしてなかったわけでもないけど。
倉沢さんが朝もしたそうに、ベッドのなかで体を寄せてきた。
「いや? 三上さんの場合、ちょっと間が空いてただけで、慣れればもっとできるようになるとおもうよ」
彼のその内容や言い方に、照れるよりもかちんときた。
「別に慣れなくていいですよ。 こんなの毎日してたら体もたないし」
「普通に毎日してるカップルいっぱいいない?」
「まだカップルじゃないし、そんなの人それぞれ……ちょっ! それ以上したら嫌いになるから!」
普通に覆いかぶさってこようとする倉沢さんを思わず押しのけた。
だってわたし、別に間が空いてるせいだけじゃなくって。
誰にでもこんな風になるわけでもなし、ただのスキモノみたいに言われたみたいで心外だった。
「そんなにいやがらなくても? ……まあ、たしかに言われてみれば、二日連続だったよね」
ほんの少しだけむくれてしまったわたしに「ごめんね、無理強いしないから機嫌直して」と、困った顔つきで彼がなだめてきた。
────そのうちもっとうまく伝えられればいいんだけどな。
ふうと声にださずに息をつく。