片恋は右隣
第4章 幸せになったらダメなんですか
昨日脱いだTシャツをまた着て、先にわたしがのそのそベッドから這い出た。
「あー、でも」
呼び止められたのかと思い、こちらにじっと見入っている倉沢さんに何ごとかと視線をむけた。
「拗ねてる三上さんもすげ可愛い。そもそも朝起きて、裸の三上さんが隣にいるとかってアリなの……んで、Tシャツ一枚とかなんのご褒美だよ 」
参った、みたいに頭に手を当てて俯いている。
そんな彼を見守っていると、その後いきなりガバッと顔を上げ、つられてビクッとしてしまう。
「ちょっと全然収まんないわ。 悪い、トイレ貸して」
そう早口でまくしたてると、パンツを履いた彼がシャツを羽織りながらとっととお手洗いへ走っていった。
ええっと。
「元気なのはいいことなの…かな……?」
その姿を見送りつつ、はあ、と今度は大げさにため息をついた。