片恋は右隣
第4章 幸せになったらダメなんですか
そんな理由で、わたしたちはお互いにシャワーを浴び、早めにベッドに入った。
くっついて横になっているとほっと心がほどけていくような感じがした。
倉沢さんはずっとわたしの肩を抱いてくれていて、たまにポツポツと異動後の仕事の話なんかをしてくれた。
「でも倉沢さん、今週マンションに来なかったですね。 わたし正直ビクビクしてたんだけど」
「なに、ビクビクって。 だって先週、もう誰かと住みたくないって言ってたから来づらかったし。 それに泊まったら普通にそういう気分なるから……そしたら朝みたいにまた嫌いになるって言われるかもとか。 いまみたいのは別だけどさ。 おれ三上さんに嫌われたくないもん」
もしかして、先週末さっさと帰ったのも実は気にしてたのかなあ。
彼って、どちらかというと思い込みや執着心が強過ぎるだけなのかと思ってた。
そしてこれももしかして、自分が思ってるより倉沢さんはわたしのことが好きなんだろうか。
わたしって自分が思ってるより幸せなんだろうか。
それもあるけど、いちいちわたしが口走った些細なことにこだわってた彼が不思議というか、気の毒というか。
……もっと優しくしなきゃと思った。