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恋人は社長令嬢

第5章 我慢するのはお互い様

「ホントだよ。」

「ふう~ん。」

瞬はまだ、信じていないようだ。


「あのさ、少し会うの控える?」

梨々香の頭の中が、真っ白になる。

「どういう事?」

「どうせ俺に会いたくて、レッスンさぼって来たか、途中で、帰って来たんだろう?」


確かに そう思った事はあるけれど……


「私、そんな事、一度もした事ないけど?今日だって、先生が特別、お休みをくれたんだから。」

それでも瞬は、じっと梨々香を見ている。

「そんなに疑ってるの?」

「いや。」

瞬は背中を向けて、ゆっくりと歩き始めた。

「……勝手に来た事、怒ってる?」

「別に。」

「もしかして、ウザいとか思ってる?」

「思ってないよ。」

言葉とは裏腹に、瞬はこっちを向いてくれない。

「さっきの話の続きだけど……」

「うん。」

「俺もこの時期、仕事が忙しくなるんだよ。」

「え?」

「毎年の事なんだけどさ。」

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