テキストサイズ

恋人は社長令嬢

第6章 愛してるのは言葉だけ!?

安奈からは、吸っていた煙草の香りがする。

だからと言って、相手が放すまで、自分からは離れない至。

「嫌がらないのね。」

確かに 付き合ってもいない女からキスされたって、うれしくないはずなのに。

「そういうところ、私は好きよ。」

そう言って、安奈は非常階段から出て行った。

「安奈!」

振りむいた安奈は、にこっと笑った。

「愛してるわ、至。」

「あ、ああ…俺も。」

理由もないのに、手を挙げて応える自分がいた。


ふと角を見ると、細い肩が震えているのが見えた。

無意識に、足が向く。

「埜々香ちゃん?」

自分を向いた埜々香は、目に涙を溜めていた。

「さっきの見てたの?」

コクンとうなづく埜々香。

「どこから?」

「…キスしてるとこから……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ