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恋人は社長令嬢

第6章 愛してるのは言葉だけ!?

案外、いい人なのかもしれない。

「私は、安奈。あなたは?」

「松森…埜々香です。」

「埜々香ちゃんね。よろしく。」

初対面で、名前を呼ばれたのは、初めての経験だ。

みんな、松森さんと呼ぶのが、定番だから。


その時、非常階段の扉が開いた。

「えっ…埜々香ちゃん?」

至は嬉しそうに、扉を開けた。

「来てくれたんだ、埜々香ちゃん。」

「はい…」


やっぱり来てよかった。

埜々香は、密かに微笑んだ。


「何よ、至。私の存在、忘れてる?」

「できれば忘れたいくらいだって、安奈。」

至は、安奈の隣に陣取った。

「知ってる子?」

「ああ、最近な。それこそ、何で安奈が、埜々香ちゃんと一緒にいるんだよ。」

「私は、さっき知り合ったばかり。ねえ~、埜々香ちゃん。」

「はい…」


“二人とも帰国子女だから“

そんな言葉が、埜々香の頭の中を駆け巡る。

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