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恋人は社長令嬢

第9章 勇気を出して

遠くを見て、ぼーっとして、時々、飲み物を口にするだけ。

「……那々姉、前もこういう時あったよね。」

「そうかしら。」

「そうだよ。ええ~とね……あっ!そうだ!高校生の時だ!」

「そんな昔?」

「あの時は確か、すっごく惚れ込んでた先輩に失恋したって…」

その時、ダンッ、とコップを置く音が響いた。

梨々香がびっくりして目の前を見ると、恐ろしい形相の那々香がいる。

「…那々姉?」

もしかして 今回も一緒?

「あっ……ハハッ…」

もうここは、笑うしかない!

「ハハハッ!そんなに落ち込まなくたって、大丈夫だって!別に、結婚考えてた人じゃないんでしょ!」

次の瞬間、次はピシッという音がする。

よく見ると、コップには微かに、ヒビが入っている。

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