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恋人は社長令嬢

第3章 恋愛に年の差なんて

その時だった。

隣に座る亮介が、そっと上から自分の手を、握りしめてくれた。

ちらっと亮介を見ると、ビール片手に、瞬と至の話で笑っている。

向い側に座る二人も、気づいていない。


その手の温かさは、”大丈夫”と言ってるかのようだった。


「課長、ごちそうさまでした。」

すっかり酔っぱらった瞬と至が、ふらつきながら頭を下げる。

「気をつけて帰れ。お疲れ様。」

「はい。」

瞬なんて、立ったまま頭が、揺れている。

「私も帰ります。」

那々香がペコッと、頭を下げた。

「那々香、お疲れ~」

至が手を振った。


それを見届けて、那々香がクルッと、背中を向けた時だ。

「松森君は、帰る方向はそっち?」

亮介がわざとらしく、聞いてきた。

「はい……」


知ってるクセに。


「俺もだから、途中まで一緒に乗っていくといい。」

「えっ?」

亮介はタクシーを停めると、流れるように、那々香を中に乗せた。

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