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恋人は社長令嬢

第4章 蝶よ花よと育てたつもりが

誰でもない、亮介だった。


「なに~!!!」

「正式な辞令が下っていない以上、松森君はまだ、僕の部下です!!い、いくら社長でも、僕の部下にご無体な真似は、お止め下さい!!」

春樹は、それまで以上にキツイ目で見たが、亮介は一歩も引かなかった。

しばらく見つめ合う、春樹と亮介。

それでも、じっと動かない亮介を見て、春樹は那々香の腕を勢いよく放した。

部長は既に、青い顔をして倒れる寸前だ。


春樹は今度は、那々香をジロッと見た。

「今回は、許してやる。」

那々香も亮介も、ホッとした顔を見せた。

「邪魔したな。」

オロオロする部長を横目に、春樹は応接室を後にした。


廊下に出ても、部長はヘコヘコと、頭を下げている。

「も、申し訳ありません。社長……」

「いや。」

元はと言えば、ただの思いつきで、来ただけだ。

社長室に戻ろうとした春樹は、ふと応接室の方を見た。

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