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恋人は社長令嬢

第4章 蝶よ花よと育てたつもりが

「社長?」

そこまですると、さすがに秘書にも疑われる。

「……今、ここにいるのはおまえだけか?」

「はい。」

「そうか。悪かったな。」

「はあ。」

首を傾げている秘書を置いて、春樹は廊下へと出た。


「さて。どこに行ったのかな?」

他に行く場所など、梨々香には無いはずなのに。

いつの間にか、一階にあるエントランスまで降りてきた春樹。

案外もう、車の中にいたりして。

春樹は、裏口へと続く道を曲がった。

ふと見ると、梨々香がそこにいるではないか。


あいつめ。

父親に心配をかけて。


春樹が梨々香に近づいて行くと、梨々香はこれでもかというくらいに、笑顔を振りまいている。

「梨々……」

春樹は、梨々香の向い側に、男がいるのを発見した。

「そ、そういえば……彼氏がいるとかいないとか、言ってたな!!」

条件反射で、壁に背中を付ける春樹。

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