鬼の姦淫
第3章 鬼神との誓約
私の腰とお尻をつかんでは下ろし、同時に下から突き上げる。
ドチュドチュ子宮口にぶつけられるたびにもう音にならない悲鳴だけが唇の間からもれる。
それでも私から滲む愛液は止まず、まるで他人の体のようだった。
耳もとで囁かれる声は乱れがなくて、これが夢でなかったら、本当にこのまま死んでしまう気がした。
「鬼の相手に沿うよう、わたしがお前の体をさらに淫らに変えてやろう。 奥の奥まで突かれても痛みなど感じぬように。 果てても果てても貫かれるかぎり、淫汁が腿を濡らし続けるように」
そしてたとえもう目覚めなくっても構わない────人から正気を奪う、鬼とはこんな存在なのかもしれない。
ぽっかりと空いた闇に引き摺られ、私は底へと堕ちていった。
そんな私の耳につけられた唇が動き続けていた。
「······大丈夫だ萌子。 すぐに覚める。 ······一つだけ言うなら、鬼でも色々ある。 餓鬼などの悪鬼の類、三宅や五嶋のような鬼、わたしのような鬼神。 それぞれ出自も特性も少しずつ異なる」
ふと、彼が私を揺らすのを止めた。
お腹の内側がジンジンと痺れ、引きつった痛みと似た余韻をそこに感じた。
「お…しえてくれない…んじゃ、なかったんですか…?」
それが音になっていたのかは分からない。
「交わった相手のことをまったく知らないのも不憫だろうと思った」
「若林くん…は?」
「……本人から訊け。 それが礼というものだろう?」
今さら礼儀などという仲正さんってやっぱり変わってる。
そう思い、私は薄らと笑ったかもしれない。
そしてまた、体内に埋められた昂りが再び動き始める。
膣道を容赦なく掻き分ける肉の杭は力強く往復を繰り返す。
「あっ…いやあ…ああっ」
闇とは底が知れないもの。
どこかで感覚が狂って、そしたらもう、笑うしかない。
愛理も笑っていたのかな。
本当に覚めたときに私はどこにいるのだろう?
「うあ…あっあっ! やめっ…!」
下腹が一層重くなり、膣奥に熱の液体が迸る。
ドクドク叩かれるそれに、自分の性器だけが収縮し反応を返した。
「ではな、萌子······」
しばらくの間しんとして、それから生きもののような塊が私から出ていった。
────しばし良い夢を。