鬼の姦淫
第3章 鬼神との誓約
「蜜口が物欲しげに動いている。 心地好いのだな」
彼の安心したような声だった。
私を気持ちよくさせようとしている?
こんなことをしておいて、優しいなんておかしい。
「萌子。 心配することはない。 これがこの先のお前になにか影響を与えることはない。 お前も意識しない心の隅に、忘れ得ぬ記憶を刻むだけ。 誰もがみる、一夜の夢だ」
夢。
ああ、そうかと合点がいった。
だって仲正さんはどこか変だった。
いまもあまり自分のことを考えてないみたいにみえるから。
そう思い立って、私は湿っていた目をゆっくりと閉じた。
弛緩していた体が時おり力がこもり、それは男性を受け入れる際の生理的な反動だったのかもしれない。
「はあ…っあぁ…あん…ああ」
だんだんと速くなってくる動きに合わせて、口から出る喘ぎが甘味を帯びる。
「ふ······やっと受け入れたか。 普通ならとっくに達している。 だが我が子に見合う者はこれぐらいでなくては」
引き寄せられ、中を捏ねて搔きまわし、なにかが弾けるかのように私が仰け反った。
穿っている男性器が一回り体積を増して私を圧倒する。
「ひ……っ…! あ、あうっ」
それは壊れそうな痛みと鋭い狂気にも似た快感だった。
長く高い嬌声と呻きの声を荒げ、剛流に身を激しく震わせる。
「やはりお前は熟れると具合がいい。 このまま深く挿したまま激しくしてやるぞ」
「んぁっ! …や、やめて…っ! もうっ、だめ」
肌も内部も焼けそうに熱い。
私からこぼれ出る否定の言葉は先ほどとは意味合いが違った。
私の背中に腕を差し込んだ彼が上体を起こす。
震えながらもたれ掛かる私の体を抱きすくめ、ガクガクと人形のように上下に揺らされる。