👿サディステック👼エンジェル
第9章 残酷愛
「多分――――…桃の勘は当たってる…と、思う。
彼女は、両親に自分はもう大丈夫って説得してた…でも、目の奥がギラギラしていて怖かったから…。
それに…両親の見えない所で……桃にキス…してたんだ」
俺の言葉を聞いた瞬間――――矢先は口を押さえ――――「うっぇ!」と、吐き気を露にした!
「だ、大丈夫か?――――ゲロ袋!」
「うっ…ぇっ…ハァハァ…大丈夫…大丈夫――――…少し…気持ちが悪くなっただけだけら…」
俺は矢先の顔色を見ながら背中を撫でる。
「悠――――…俺は…あの女から……逃げたいし…、あの女をかばいだてする家からも逃げたい!早く……大人に……なりたい」
そう言うと、矢先は拳を握り……大きな瞳から大粒の涙を流した。
天使のようなその顔は…苦痛に歪んでいるが…それでもまだ美しく……
彼女が矢先に執着する意味が――――分かる気がした。