
野良猫さん。
第2章 門限
カラン、カラン。
店のドアを押し開けベルが鳴ると、従業員であろうカッコイイ人が日高を見て駆け寄って来た。
「ちわーっす!高良さん」
「よお、翔太。久しぶりじゃん」
日高の頭をガシガシと撫でたカッコイイ人。
店内が薄暗くて顔がよく見えないけど、大人の色気が漂う長身イケメン。
「えっと、この子は?」
「彰彦、学校の友達。つかヒロさんは?」
「ヒロ?買い出し中」
「そか。あ、腹減ったから物色させてー」
そう言うと日高は店の奥へ行ってしまった。
「‥‥‥」
初対面の人と二人きり、人見知りには辛い。
「彰彦くん、僕は高良悠布(たからゆう)。よろしくね」
そんなオレを察してか、ニッコリと笑い右手を差し出す高良さん。
「あ、ども‥」
右手を差し出し、手が触れた瞬間。
「ッ――!」
一瞬の事だった。
グイッと手を引かれ、高良さんに抱かれているような体勢になり、鼻と鼻がスレスレの距離。
「???」
急な事に硬直していると、高良さんがニヤッと笑い、更に距離が縮まった。
「え、ちょ――ッ」
カラン、カラン。
