
野良猫さん。
第1章 箱入り
「おはよ、兄さん」
起床7時。
「よお、アキ」
前日の疲れがイマイチとれていない様子の兄、達城(たつき)は大きなアクビをしながらネクタイを締めている。
「今日はおせーの?」
達城の作った完璧な"THE朝食"を食べながら聞く。
「わかんね。また明け方になるかもなー」
「そか。てか、寝癖」
トーストをくわえながら達城の髪を整える。
「おー、わりぃわりぃ」
長めの茶髪に無造作パーマ。
端正な顔立ちに薄茶色の瞳。
「ほい、イケメン完成」
ハーフに間違えられるほど綺麗な顔。
「ははは、サンキュー」
笑ってたかと思えば急にニヤリと口角を上げ、オレの唇を指で拭った。
