
恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
そんな菊子に、日向は冷たい口調でこう言った。
「野宮菊子。あんたの話は、あにきからよく聞いてたよ。愉快な女友達がいるってね」
愉快な女友達。
雨にそんな風に言われていたのかと菊子は心の中で苦笑いする。
「愉快な女友達がいけませんか?」
「友達、ねぇ……。あんた、あにきに対して友情なんか抱いてるのか」
「それは、どういう意味でしょう?」
菊子の問いに、日向は少し間を開けてから答える。
「何か、目的があってあにきに近付いたんじゃないの? て意味だよ」
「あら、それは、どんな目的かしら?」
二人の間に冷えた空気が漂う。
「あんたの前の家政婦……」
いきなり話が飛んだので、菊子は、「は?」という顔になったが、黙って日向の話を聞く事にする。
「若かったけど仕事の良く出来る人で、性格も穏やかで、あにきに凄く親切で、俺もそれなりに信頼していたんだけど、人は見かけによらないな。彼女には、仕事以外に別に目的があったんだ。何だと思う?」
そう訊かれて、菊子はまさかと思う。
「まさか、目黒さんの財産目当て? その為に家政婦としてこの家に入り込んで来た、とか?」
若干、そんな事ある訳ないと思いながらもそう口にした菊子。
しかし。
「その通りだよ。彼女は、あにきをモノにして、あにきと、あにきの財産を手に入れようとしていたんだ。けど、あにきは彼女の思い通りにはならなかった。だから、彼女は最後の手段に出たんだ」
菊子の予想は当たっていた。
「最後の手段って、まさか」
日向が頷く。
菊子の口があんぐりと開く。
「彼女は、あんたと同じく、住み込みの家政婦だった。しばらくの間、彼女は真面目に働いてくれていたよ。それが、ある日、突然……」
日向は苦虫を嚙み潰したような顔をする。
菊子は息を呑んで日向の話の続きを待った。
日向は汚い物でも見る様な目つきで菊子を見ると話し出す。
「夜、俺が部屋で寝ていたら、あにきの部屋の方から言い争う様な声が聞こえて来て。慌てて起きて、あにきの部屋まで行って、そして部屋の扉を開けたら、彼女が下着姿で、あにきのベッドで、抵抗するあにきを組み伏せていたんだ」
言い終わった日向は疲れた様に肩を落とした。
日向の話を聞いて、前の家政婦が辞めたのはそんな理由か、と菊子は納得した。
「野宮菊子。あんたの話は、あにきからよく聞いてたよ。愉快な女友達がいるってね」
愉快な女友達。
雨にそんな風に言われていたのかと菊子は心の中で苦笑いする。
「愉快な女友達がいけませんか?」
「友達、ねぇ……。あんた、あにきに対して友情なんか抱いてるのか」
「それは、どういう意味でしょう?」
菊子の問いに、日向は少し間を開けてから答える。
「何か、目的があってあにきに近付いたんじゃないの? て意味だよ」
「あら、それは、どんな目的かしら?」
二人の間に冷えた空気が漂う。
「あんたの前の家政婦……」
いきなり話が飛んだので、菊子は、「は?」という顔になったが、黙って日向の話を聞く事にする。
「若かったけど仕事の良く出来る人で、性格も穏やかで、あにきに凄く親切で、俺もそれなりに信頼していたんだけど、人は見かけによらないな。彼女には、仕事以外に別に目的があったんだ。何だと思う?」
そう訊かれて、菊子はまさかと思う。
「まさか、目黒さんの財産目当て? その為に家政婦としてこの家に入り込んで来た、とか?」
若干、そんな事ある訳ないと思いながらもそう口にした菊子。
しかし。
「その通りだよ。彼女は、あにきをモノにして、あにきと、あにきの財産を手に入れようとしていたんだ。けど、あにきは彼女の思い通りにはならなかった。だから、彼女は最後の手段に出たんだ」
菊子の予想は当たっていた。
「最後の手段って、まさか」
日向が頷く。
菊子の口があんぐりと開く。
「彼女は、あんたと同じく、住み込みの家政婦だった。しばらくの間、彼女は真面目に働いてくれていたよ。それが、ある日、突然……」
日向は苦虫を嚙み潰したような顔をする。
菊子は息を呑んで日向の話の続きを待った。
日向は汚い物でも見る様な目つきで菊子を見ると話し出す。
「夜、俺が部屋で寝ていたら、あにきの部屋の方から言い争う様な声が聞こえて来て。慌てて起きて、あにきの部屋まで行って、そして部屋の扉を開けたら、彼女が下着姿で、あにきのベッドで、抵抗するあにきを組み伏せていたんだ」
言い終わった日向は疲れた様に肩を落とした。
日向の話を聞いて、前の家政婦が辞めたのはそんな理由か、と菊子は納得した。
