
恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
日向と出会った時、菊子が張り付けていた慎まし気な雰囲気は最早壊れていた。
マシンガンの様に吐き出された菊子の台詞に日向は目をパチパチさせている。
「あんた、あにきのせいだって言いたいのかよ?」
「そんなつもりはありません。ですが、そう言っちゃってますよね。すみません」
菊子が小さく頭を下げる。
「あんた、とんでもない女だな」
日向は呆れ返った顔をしている。
「どう思ってもらっても結構。ですが、最初に私の事、悪女扱いで接して来たのはあなたでしょ。そんな目で私の事を見ているあなたの前で、私はどうすれば良かったんでしょう?」
「どうすれば、って……」
日向が口ごもる。
「泣き叫んで、酷いと言えば良かったでしょうか? それとも、怒ってみるべきでしたでしょうか? いかがですか?」
饒舌に話し続ける菊子に日向は何も言えない。
日向の悔しそうな顔に菊子は、ちょっとの優越感に浸る。
「私が何を言ったって、したって、今のあなたに私に下心がない事を証明する事なんて出来やしないんですよ、きっと」
確かに菊子の言う通りだった。
今の日向には、菊子のどんな言葉も耳に入らない。
真面目に話しただけ、無駄なのだ。
そして、菊子もまた、苛立った今のままでは日向とまともな話は出来そうに無かった。
そんな二人が取るべき行動は、ただ一つ。
「しばし、休戦といきましょう。目黒さんの為に」
菊子は日向にそう提案した。
「あにきの為……か」
日向は苦い顔をしながらも頷いた。
「あにきに妙な真似をしたら即刻クビだからな!」
鋭い目つきで菊子を睨みながら日向が言うと、菊子は、「それは目黒さんが決める事でしょ」と、とふんっ、と鼻を鳴らした。
休戦協定は交わしたものの、どうやら水と油の二人。
雲行きが怪しい事甚だしい。
二人の間にこれからなにが待ち受けているのか。
それは神のみぞ知る、であった。
マシンガンの様に吐き出された菊子の台詞に日向は目をパチパチさせている。
「あんた、あにきのせいだって言いたいのかよ?」
「そんなつもりはありません。ですが、そう言っちゃってますよね。すみません」
菊子が小さく頭を下げる。
「あんた、とんでもない女だな」
日向は呆れ返った顔をしている。
「どう思ってもらっても結構。ですが、最初に私の事、悪女扱いで接して来たのはあなたでしょ。そんな目で私の事を見ているあなたの前で、私はどうすれば良かったんでしょう?」
「どうすれば、って……」
日向が口ごもる。
「泣き叫んで、酷いと言えば良かったでしょうか? それとも、怒ってみるべきでしたでしょうか? いかがですか?」
饒舌に話し続ける菊子に日向は何も言えない。
日向の悔しそうな顔に菊子は、ちょっとの優越感に浸る。
「私が何を言ったって、したって、今のあなたに私に下心がない事を証明する事なんて出来やしないんですよ、きっと」
確かに菊子の言う通りだった。
今の日向には、菊子のどんな言葉も耳に入らない。
真面目に話しただけ、無駄なのだ。
そして、菊子もまた、苛立った今のままでは日向とまともな話は出来そうに無かった。
そんな二人が取るべき行動は、ただ一つ。
「しばし、休戦といきましょう。目黒さんの為に」
菊子は日向にそう提案した。
「あにきの為……か」
日向は苦い顔をしながらも頷いた。
「あにきに妙な真似をしたら即刻クビだからな!」
鋭い目つきで菊子を睨みながら日向が言うと、菊子は、「それは目黒さんが決める事でしょ」と、とふんっ、と鼻を鳴らした。
休戦協定は交わしたものの、どうやら水と油の二人。
雲行きが怪しい事甚だしい。
二人の間にこれからなにが待ち受けているのか。
それは神のみぞ知る、であった。
