恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
「えっ? えっ? どこ?」
菊子は自分の口の周りを撫でまわす。
「仕方ないな」
そう言って雨は車椅子を動かした。
雨は菊子の側まで来ると指先で菊子の唇の直ぐ近くを拭う。
「取れた」
そう言って雨は指に付いたチーズの欠片をばくりと食べてしまった。
その様子に菊子は唖然とする。
何が起こったのかを理解するまで数秒。
「ななななっ、何やってるんですか!」
顔を真っ赤にした菊子に雨は、きょとんとした顔で「何って、何が?」と問う。
何がって何よ。
この男、とんでもないわ。
頬を膨らませる菊子を雨は「面白いやつだな」と笑うのだった。
さっきまでのしんみりした雰囲気はこれにて払拭されたのだった。
結局、二人はピザを全部平らげてしまった。
後片付けをしている菊子に雨が「片付け、手伝えなくてすまないね」と眉を下げて言う。
「いえいえ。片付けも家政婦としての私の仕事ですから。目黒さんが手伝う事ありませんよ」
「そう言ってくれると雇った甲斐があるよ」
雨の目の前なので、出来るだけテキパキと働いて見せる菊子。
汚れた食器を纏め、載せられるだけ、ピザの箱の上に乗せて、さて、キッチンへと運ぼうとする。
「菊子、ちょっとここで待ってて」
雨が菊子を呼び止めた。
「何ですか?」
怪訝な顔をする菊子に雨は「良いから待ってて」と言ってリビングダイニングを出て行ってしまった。
菊子が待つ事、ほんのちょっぴり。
戻って来た雨の膝の上には、何やら白い布が乗っかっている。
雨は、その布を菊子に差し出すと「着けてみて」と言う。
渡されたそれを菊子が広げて見ると、エプロンだった。
エプロンの裾の所には小さなフリルが付いている。
フリルは白いレースで蝶の模様があった。
こんな可愛いエプロンを私に付けろと?
菊子の目は点になった。
「いやいや、こんなの、似合わないに決まってるじゃない。エプロンなら私も持ってきましたから大丈夫ですよ」
「良いから着けてみな」
雨にそう言われて菊子は仕方なく渡されたエプロンを身に着けた。
エプロンは、サイズは菊子に、ぴったりであった。
「どうですか?」
訊かれて雨は菊子を眺めると「悪くないんじゃないかな」と答える。
しかし、雨のその顔は、どう見ても笑いを堪えている様に見える。
菊子は自分の口の周りを撫でまわす。
「仕方ないな」
そう言って雨は車椅子を動かした。
雨は菊子の側まで来ると指先で菊子の唇の直ぐ近くを拭う。
「取れた」
そう言って雨は指に付いたチーズの欠片をばくりと食べてしまった。
その様子に菊子は唖然とする。
何が起こったのかを理解するまで数秒。
「ななななっ、何やってるんですか!」
顔を真っ赤にした菊子に雨は、きょとんとした顔で「何って、何が?」と問う。
何がって何よ。
この男、とんでもないわ。
頬を膨らませる菊子を雨は「面白いやつだな」と笑うのだった。
さっきまでのしんみりした雰囲気はこれにて払拭されたのだった。
結局、二人はピザを全部平らげてしまった。
後片付けをしている菊子に雨が「片付け、手伝えなくてすまないね」と眉を下げて言う。
「いえいえ。片付けも家政婦としての私の仕事ですから。目黒さんが手伝う事ありませんよ」
「そう言ってくれると雇った甲斐があるよ」
雨の目の前なので、出来るだけテキパキと働いて見せる菊子。
汚れた食器を纏め、載せられるだけ、ピザの箱の上に乗せて、さて、キッチンへと運ぼうとする。
「菊子、ちょっとここで待ってて」
雨が菊子を呼び止めた。
「何ですか?」
怪訝な顔をする菊子に雨は「良いから待ってて」と言ってリビングダイニングを出て行ってしまった。
菊子が待つ事、ほんのちょっぴり。
戻って来た雨の膝の上には、何やら白い布が乗っかっている。
雨は、その布を菊子に差し出すと「着けてみて」と言う。
渡されたそれを菊子が広げて見ると、エプロンだった。
エプロンの裾の所には小さなフリルが付いている。
フリルは白いレースで蝶の模様があった。
こんな可愛いエプロンを私に付けろと?
菊子の目は点になった。
「いやいや、こんなの、似合わないに決まってるじゃない。エプロンなら私も持ってきましたから大丈夫ですよ」
「良いから着けてみな」
雨にそう言われて菊子は仕方なく渡されたエプロンを身に着けた。
エプロンは、サイズは菊子に、ぴったりであった。
「どうですか?」
訊かれて雨は菊子を眺めると「悪くないんじゃないかな」と答える。
しかし、雨のその顔は、どう見ても笑いを堪えている様に見える。