恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
「あの、目黒さん、さっきから商品を見てばかりで何もかごに入って無いんですけど」
菊子が言うと雨は、はっとした顔をする。
「商品を見るのが楽しくて忘れてた」
とぼけた顔で言う雨。
「はぁ? 何ですか、それ。兎に角、何か、かごに入れましょうよ」
呆れた様子を隠そうともせずに菊子は言った。
「うん、じゃあまずはお菓子をかごに入れよう」
その台詞を聞いて菊子の顔が渋くなる。
「は? 何でお菓子なんですか! 他に何か優先させるべきものがあるでしょう?」
「俺は楽しいところから先に行く主義なんだ」
堂々とした雨の答えに、「さようですか」と菊子は冷たく言う。
そんな冷たさどこ吹く風で、「さようです。じゃあ、お菓子売り場に出発!」と元気に雨は言う。
「はい」
菊子は、がくりと頭を下げた。
雨の後へついてお菓子売り場へ向かうと売り場には子供達がキャッキャと賑やかな声を上げてお菓子を選んでいた。
その子供達が着ている洋服がブランド物である事に気が付いて菊子は、くらくらと眩暈を覚える。
そして子供達が着ている服と自分の服を比べて菊子はへこんだ。
そう言えば雨もラフな服装ではあるがブランド物を着ている。
菊子にはスーパーへ行くのにブランド物の洋服を着て行くという概念が無かった。
と言うか、意味不明であった。
住む世界が違うわ。
今すぐ回れ右をして馴染んだ激安スーパーへ駆け込みたい気持ちに菊子は駆られる。
菊子は耳に商店街の総菜屋のスケベ顔の店主が菊子を呼ぶ声が聞こえる気がした。
揚げたてのコロッケの幻さえ見える。
「どうした菊子? 額に皺なんか作って」
「皺なんか出来ません」
ふんっ、とそっぽを向く菊子を笑って、雨は車椅子を進め、菊子から離れて、お菓子選びを始めてしまった。
子供達に馴染んでお菓子を選んでいる雨を、少し離れた所で菊子は眺める。
本当に自由な人。
呆れ半分に思いながらも、でも、雨のそんな自由な所が羨ましいし、憧れる。
自分だって十分自由なつもりでいたけれど……。
菊子が言うと雨は、はっとした顔をする。
「商品を見るのが楽しくて忘れてた」
とぼけた顔で言う雨。
「はぁ? 何ですか、それ。兎に角、何か、かごに入れましょうよ」
呆れた様子を隠そうともせずに菊子は言った。
「うん、じゃあまずはお菓子をかごに入れよう」
その台詞を聞いて菊子の顔が渋くなる。
「は? 何でお菓子なんですか! 他に何か優先させるべきものがあるでしょう?」
「俺は楽しいところから先に行く主義なんだ」
堂々とした雨の答えに、「さようですか」と菊子は冷たく言う。
そんな冷たさどこ吹く風で、「さようです。じゃあ、お菓子売り場に出発!」と元気に雨は言う。
「はい」
菊子は、がくりと頭を下げた。
雨の後へついてお菓子売り場へ向かうと売り場には子供達がキャッキャと賑やかな声を上げてお菓子を選んでいた。
その子供達が着ている洋服がブランド物である事に気が付いて菊子は、くらくらと眩暈を覚える。
そして子供達が着ている服と自分の服を比べて菊子はへこんだ。
そう言えば雨もラフな服装ではあるがブランド物を着ている。
菊子にはスーパーへ行くのにブランド物の洋服を着て行くという概念が無かった。
と言うか、意味不明であった。
住む世界が違うわ。
今すぐ回れ右をして馴染んだ激安スーパーへ駆け込みたい気持ちに菊子は駆られる。
菊子は耳に商店街の総菜屋のスケベ顔の店主が菊子を呼ぶ声が聞こえる気がした。
揚げたてのコロッケの幻さえ見える。
「どうした菊子? 額に皺なんか作って」
「皺なんか出来ません」
ふんっ、とそっぽを向く菊子を笑って、雨は車椅子を進め、菊子から離れて、お菓子選びを始めてしまった。
子供達に馴染んでお菓子を選んでいる雨を、少し離れた所で菊子は眺める。
本当に自由な人。
呆れ半分に思いながらも、でも、雨のそんな自由な所が羨ましいし、憧れる。
自分だって十分自由なつもりでいたけれど……。