I‘m yours forever
第1章 美月、傷つく
「私の妻に何かご用でしょうか?」
背後から畏怖を感じさせる黎一さんの声が聞こえて、私はビクりと肩を震わせた。
振り返ると、人一人殺せそうな殺気を纏った黎一さんが射殺すような視線を尾崎と名乗る男に向けていた。
視線で威圧された尾崎は、蛇に睨まれた蛙のように縮こまってしまっていた。
「会社の英語表記が若干違いますね。失礼ですが、念の為ホームページからご連絡させていただいてもよろしいでしょうか?」
私の手にある名刺を横目でサッと確認すると、黎一さんは不気味な程穏やかな声で尾崎に問いかける。
「................何故逃げる?
所属しているんだろう?尾崎さん。」
顔面蒼白となり、黎一さんに背を向けようとした尾崎と名乗る男の手首を掴むと、思いっきり捻り上げたのだった。
すると尾崎は激痛に顔を歪ませる。
「それと、何故近くに車を停める必要がある?写真を悪用するだけでは飽き足らず、彼女を騙して別な場所へ連れていき暴行を働こうとしていたのではないか?え?腕が折れるよりも先に私への心象を良くするべきだろう。違うか?」
「す、すんません、お、俺はホリプロの者では、な、無いです、彼女をAV撮影会場に連れて行って、強姦し、ひぃテェエエエエエエエ!!」
「続けろ、強姦の後は何だ?」
「動画を撮って、か、彼女を脅迫して、ふ、風俗に沈めてしまおうかと、ィっっっっテェエエ!!か、稼ぎ頭に成ってくれそうだったんです、い、一刻も早く、か、金が欲しくて」
「なるほど.....やはり犯罪行為だったか。」
彼はゾッとするような薄ら笑みを浮かべた。
尾崎は額から大量の汗を垂れ流しながら、「すんません本当すんませんでした!」と平身低頭する。
「お前の平謝りが何の解決になる?
身体で代償を払え。まずはその腕だ。」
尾崎の謝罪を全く聞き入れないどころか、黎一さんは地を這うような声で威圧すると彼の腕に更に力を込めた。
呻き声を上げた尾崎の腕から骨の軋むような音が、気のせいではなく聞こえた。
マズイ...このままじゃ....。
その様子に危機感を感じた私は、必死に黎一さんに訴えた。