I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編
「あ、奥さん!お茶とかいいですから!」
「ですが折角、ここまで運んで来て頂いたのにお茶も無いなんて...。」
「いやマジでいいって(笑)客人じゃねえし(笑)それよりも、ここ座っていいか?アイツ重くてよ、疲れちまって。」
そう言うと、西條は木製のダイニングチェアを指差した。「どうぞ」と一言、私が声を掛けると、椅子用クッションが引かれたダイニングチェアに腰掛ける。
茶菓子もお茶も出さずに、ただ座らされるのもなぁと思った私は、真向かいに座った。
「あの」と声を掛けようとして、西條に視線を注がれている事に気付く。
「あ、悪りぃ。マジマジ見て。黎一の言った通り、綺麗な奥さんだからさ、ついな。」
「....彼、私の事綺麗だって言ってるんですか?」
「結婚したってアイツから電話報告あった時から言ってたな。可愛いくて綺麗で優しい女性を妻に貰ったって。にしても若いなぁ。20代か?」
「恥ずかしながら、今年で29です。」
「29!?見えねえよ.....あー...年齢の話はマズイよな、すまんすまん🙏」
「だ、大丈夫です。」
「優しいなぁ。確か美月ちゃん...だったか?漢字は美しいに月だったよな?」
「そ、そうです。あれ...黎一さんから聞きましたか?」
「アイツは俺の妻としか言わねえよ(笑)俺は結婚式の招待客だったんだが、まあ覚えてないか(笑)」
「招待客.........あ!!お、思い出しました!!友人代表スピーチをして下さった方ですね!!」
「ピンポーン!その通りだぜ」
「すいません、どちら様とか言っちゃって。」
「いや、さっきは確実に俺が悪いから(笑)美月ちゃんは気になさんな。にしても広い家だな。ソファも3人掛けだし、このテーブルも4人掛けだろ?もしや4LDKか?」