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老人ホーム

第5章 ちょっとしたハプニング

僕は、本田の車のJAFの対応をして、本田の車で昼から出勤した。女性の車は良い匂いがする。僕は、施設の駐車場の目立たないところに本田の車を止め、施設に入ってチーフのところに行った。チーフに、

「車動かなかったの?」

と言われたので、

「はい、それでJAFを呼んでみてもらってたので、遅くなりました。すみません!」

と言うと、

「まー、今回はしょうがないわね!そういうこともあるから!ただ、突然の遅刻は極力避けてほしいの。なぜかというと、ギリギリの人数でシフト組んでるから、突然の遅刻や休みには対応するの難しいのよね!介護の場合、やらなくていい仕事は一つもないので、今日は急遽、ケアマネさんに入ってもらったの!ケアマネさんにちょっと挨拶してきた方が良いと思う!彼女も忙しいはずだから!」

僕はそれを聞いて、自分が、遅刻することを甘くみていたことを知った。僕はまだ、田中と一緒に働いている状態でいつもは一人多いから、普段ならまだ大丈夫だったのだが、今日は、一人で仕事をするための訓練のため、田中とは別の勤務になっていたので、僕がいないと完全に一人足りない状態だった。

僕は事務所に行くと、ケアマネの女性に頭を下げて謝った。すると、ケアマネさんは、

「いいのよ!持ちつ持たれつだから!それに車の故障じゃしょうがないしね!」

と、笑顔で言った。

僕は、職員とすれ違う度にいろんな職員に謝った。そして、一人が遅刻する事の重大さを知った。しかし思ったのは、遅刻したらこの状態になることを、先に知らなくて良かったかもしれない。知っていたら、本田を見て見ぬふりして、素通りしたかもしれない。いや、たぶん素通りしたはずだ。

本田の車の対応を出来たのは、僕としては、良かったと思った。

あと、本田に連絡だけしておかなければならないことがあった。JAFの請求書と本田の車の鍵は、介護員室にある職員個人のトレイに入れておくこと。それから僕の車の鍵は車の中に置いておいていいということ。

緊急で連絡を取らなければならないときがあるため、連絡先は、目立たないところに一覧で貼ってあった。僕はそれを見て、その内容を本田にショートメールで連絡を入れた。

本田からは、「承知しました。色々ありがとうございました。」と返信があった。

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