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主治医との結婚生活

第10章 仕事

新しい仕事を前に 私は 少し緊張していた。

真新しい世界 に 飛び込む前は 緊張する。


「何か… 顔が 強張ってるね。明花ちゃん…」

奏真さんが 眉毛を下げ、苦笑いする。

「うん… 初めての仕事の前って 緊張するよ
ね…! 社会人1年めを思い出すよ…!」

私は 大学病院の 初出勤を 思い出す。

「あの時は… 仕事に対する緊張と、
奏真さんに会う緊張 の 2重 だったから…
あの時に比べたらマシか…!」

緊張で落ち着かない体を 抱きしめながら笑う。

「…大丈夫だよ。」
奏真さんが ぎゅっと私を抱きしめる。

「明花ちゃんなら 大丈夫。 僕が保証する。
僕を惚れさせた あの働きっぷりは 
自信を持っていいよ!」

「奏真先生…」

私は 大学病院に居る様な 錯覚を覚える。

「あの時は… 奏真先生に認めて貰いたくて 
必死だったから…」

言いながら 照れて…

俯く。

奏真さんは ふっと笑って 私にキスをする。

「前にも言ったけど… 無理はしちゃダメだよ?」



そうして私は 
これから働き始めるお店にやって来た。

駅から少しだけ離れた立地にあり、
知る人ぞ知る 隠れたお店… という感じだった。

夜は居酒屋さんになるらしく、壁にはお酒のボトルが
お洒落に飾られているが、
昼間の今は オープンカフェの様な雰囲気で 
明るい。  

手作りの美味しそうな定食の写真が 
窓に張り出されている。 女性受けしそうだ。

「大澤さん! いらっしゃい!
よく来てくれた〜!!! ありがとうね!」

私を誘ってくれた ママのお友達、鳴沢さんが
両手を広げて迎えてくれた。

ここのお店は 鳴沢さんの従姉妹のお姉さん
夫妻が経営しているらしく、夜は旦那様が、
昼は従姉妹さんが担当しているらしい。

夜の人手は 主に大学生のバイトさん達が中心
らしく、昼間は 私の様な主婦層がパートをして
いるのだそう。

先月まで勤めていたパートさんが旦那様の転勤で
辞めちゃったとかで困っていたらしい。

鳴沢さんの従姉妹 ミナさんは社会人と大学生の
お子さんを持つ2児の母。 
明るくて豪快な人だった。 
主にキッチンに入って料理を作っている。


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