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主治医との結婚生活

第14章 浮気

「前から 行きたかったんですけど 
何か 一歩が踏み出せなくて…。
でも ミナさんもカフェに挑戦してるし、
俺もやっと やってみる気になって…」

「うんうん! 良い事だ〜! 応援してるよ!」

「アリガトウ ゴザイマス」

「ふふっ 何で カタコトなの…(笑)」



その日の夕方
家に帰って 夜ご飯を作りながら 
煌大くんの事を考える。

煌大くんの夢を 応援したい気持ちは 本当。

なのに… なんで こんなに 寂しいんだろう…

心にぽっかり 穴が空くような 虚無感…。

もう あの 笑顔は 見れないんだね。
バカな事言い合って 笑い合えないんだね…

ふと
涙が溢れる。

おかしいな…。 この感情は何だろう…?


それから 気がつく。

ああ、 私… 煌大くんが好きなんだな…

もちろん 奏真さんと比べる対象には 
ならないんだけど…


いつの間にか…

あの笑顔に 救われて 癒やされて…
安心しきってた…

だから
泣きたくなるくらい 寂しくて 

失恋にも似た 心の痛み…



「ただいま〜」
帰宅を知らせる奏真さんの声に ドキッとする。

「お帰りなさい。」
私は慌てて 精一杯笑顔を作る  が

先生は 日々患者さんの顔色を見ている。

私の異変など すぐに見破られてしまう。

「…どうしたの? 明花ちゃん…」
心配そうな表情で聞かれる。

取り繕った笑顔は 堪えきれずに 涙が溢れる。

「…玉ねぎが 目に しみて…」

奏真さんは私の前にある みじん切りの玉ねぎを
確認する。

「コイツが 明花ちゃんを泣かせたのか…!」

奏真さんが私を抱き寄せる。
「可哀想に…」

奏真さんが 髪を撫でて 慰めてくれる。

奏真さんの背中に手を回して 泣く。

髪を撫でる 手の温もりが 優しくて…

寂しさが 埋められていく…

じんわりと 心が 温かくなって

涙が 乾いていく


やっぱり 奏真さんは凄い…!
私を たちまちに 回復させてくれる…

「大丈夫…!」

私は 奏真さんに 笑いかける。

本当に… 大丈夫…。
今からは 笑って 煌大くんの事も 
応援出来る…。

奏真さんは 尚も心配そうに 
そっと 私の涙を拭う。

「暖菜がいなかったら 
もっと慰めてあげるんだけど…」

奏真さんが そっと 小声で言う頃…

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