無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

奏真さんは　私の様子に短く息を吐いて
シャツを脱いだ。


奏真さんの　腕に包まれて…
体温と　鼓動を　感じる。

髪を梳く　指が心地良くて　安心できた。


私は　また　眠りの世界へ　誘われる…

「おやすみ。明花ちゃん…」

奏真さんの優しい　声色に　安心して
また　意識を　手放した。


次に　気がついたのは　
ご飯の　良い香りに　気がついて…

ハッとして　起き上がった。

いつの間にか…　浴衣になってる…


「あ、明花ちゃん。　おはよう。
すごい　いいタイミング！」

奏真さんが　笑う　横に　
女将さんの姿もあった。

浴衣姿の奏真さんに　美しい女将さん…　

むぅ～っ

私は　眉間にシワを寄せ　わかり易く嫉妬する。

「何、怒ってるの…。　嫉妬してるの？」

私の表情に　奏真さんは　苦笑する。


「奥様…！　ご気分は大丈夫ですか？」

女将さんは心配そうに眉を寄せ　気遣ってくれる。
単純な私は　嫉妬した事を　心の中でお詫びした。


「明花ちゃんが寝ていたから　
お夕飯の時間を　どうしようかと　
フロントに相談したら　萩原さんが出てね…
特別に　お部屋食に　変更してくれたんだ。」


現在の状況を　奏真さんが　説明してくれた。


「ええぇ！　すみません…」
私は縮こまって　女将さんに謝る。

「いえいえ。　大切なお客様ですから…。
萩原も　それはそれは　心配して　おりました。」

私は　萩原さんの　慌てふためく様子を
容易に想像した。

それは…　篠宮の血縁者だから…

「ありがとうございます。
この土地の皆様には　
ご心配をおかけした上に　音沙汰もなく…
裏切る様な　事をしたにも関わらず　
温かく　接してくれるんですね…。
皆様　お優しくて　有り難いです…。」

母は　この土地が煩わしくて　嫌い　だと
言っていた。
その　気持ちも　少しは　わかった。

でも　それ以上に
この土地の人達は　温かい…
まるで…　百合子お祖母ちゃんみたい…。

「皆、　篠宮様が大好きでしたから！
奥様も…　とても素敵だと思います。
とてもお可愛らしくて…！
大澤様も大変ですわね…！」

女将さんに微笑まれて　　
奏真さんと2人で　照れてしまう。

「また　この土地に　お帰りの際は
お立ち寄り下さい。
私達は　いつでも　お待ちしております。」