テキストサイズ

孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す

第26章 誓い

私はおじさまとともに嫁入りの支度に着手した。

おじさまはその頃、社長の座を副社長に譲り、会長に就任するとともに以前より自由な時間が増えていた。


指輪、チャペル、披露宴会場、招待客、引き出物、料理、テーブルコーディネート、フラワーアレンジメント…。

決めることは山のようにあった。

「金に糸目はつけないよ、お前にとって一生に一度のことだから」

おじさまはそう言って、私が気後れするくらい、どれも最高級のものを選んだ。

まるで夢の世界を思い描く空想の世界のようにも思えて、私の心は浮きたった。



ウエディングドレスはオーダーにした。

丹念に素材やデザインを吟味するおじさまの姿を見て、私だけでなくドレス屋さんも、笑みをこぼさずにいられなかった。


あっという間に高校の卒業式も終わり、晴れて第一志望に受かった遥人さんも大学生になった。


式の二日前には、最高級のシルクで仕立てた、背中の開いたプリンセスラインのドレスが自宅に届けられた。

フランス製の総レースのトレーンがついたこのドレスに、繊細で柔らかいイタリアンチュールのヴェールと、パールをふんだんにあしらったティアラを合わせる。



結婚式の前日、リビングでドレスを着ておじさまに見せた。

「黎佳の花嫁姿を、誰よりも先に見たかったんだ…新郎よりも先にね」

おじさまは眩しいものを見るかのように目を細めて微笑んだ。

「おじさま?おじさまは私が遥人さんと結婚して、本当においやではないのね」

「ああ、黎佳が素敵な花嫁になるのは、私にとっても喜ばしい。しかもお前が義理の孫になるんだ」

「なら、よかった…けどおじさま?おじさまが私のおじいさまになって、おじさまの孫になると言うことは、正式に親戚関係になるとういことよね…そうすると」

「黎佳、これまでどおり私たちの関係が続けられるかを心配しているんだね。それは心配いらないよ。私たちはただお互いを愛おしく思っていて、お互いの幸せを願っている。それだけだ。だから、咎めるものは何もないんだ」

「いいのね。いままでどおりおじさまを愛していて」

「ああ、私もいままでどおり、いや、今まで以上に黎佳を愛するよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ