孤高の帝王は純粋無垢な少女を愛し、どこまでも優しく穢す
第2章 出会い
=Masaki=
「雅紀さん、起きてる?あたしよ、スミレ」
愛人のスミレの電話はいつだって唐突だ。
私はキングサイズのベッドから起き上がり、顔を手のひらでこすりながら受話器の向こうの切羽詰まった声にこたえる。
「ああ、起きたよ。どうした」
「今日黎佳の入学式なんだけど、急に取材が入っちゃって行かれなくなっちゃって…雅紀さん、どうしよう」
その声は困ったというよりも急な仕事を任されて浮かれている様子だ。
希望の出版社に就職し、下積みを積んできた彼女にとってはこのうえない喜びだろう。私の会社に入社した新人たちだって、半人前だった自分が仕事を任されれば狂喜して一心不乱に食らいつく。
「そうか…俺が何とかしよう」
「よかった。だから雅紀さん大好き。今度会った時は…たっぷりお礼する」
スミレの声が一瞬、鼻にかかる艶っぽいものに変わる。
「…ああ。で、黎佳ちゃんは」
「一人で学校に行けるって言いはってるの。だから小学校の体育館に行って欲しいの。黎佳は美人だし、特注でとびきり可愛い服を用意して着せたから、絶対すぐわかるわ。じゃあ、もう空港、現場に着くから、切るね。ほんとありがと」
そう言って電話は切れた。
「雅紀さん、起きてる?あたしよ、スミレ」
愛人のスミレの電話はいつだって唐突だ。
私はキングサイズのベッドから起き上がり、顔を手のひらでこすりながら受話器の向こうの切羽詰まった声にこたえる。
「ああ、起きたよ。どうした」
「今日黎佳の入学式なんだけど、急に取材が入っちゃって行かれなくなっちゃって…雅紀さん、どうしよう」
その声は困ったというよりも急な仕事を任されて浮かれている様子だ。
希望の出版社に就職し、下積みを積んできた彼女にとってはこのうえない喜びだろう。私の会社に入社した新人たちだって、半人前だった自分が仕事を任されれば狂喜して一心不乱に食らいつく。
「そうか…俺が何とかしよう」
「よかった。だから雅紀さん大好き。今度会った時は…たっぷりお礼する」
スミレの声が一瞬、鼻にかかる艶っぽいものに変わる。
「…ああ。で、黎佳ちゃんは」
「一人で学校に行けるって言いはってるの。だから小学校の体育館に行って欲しいの。黎佳は美人だし、特注でとびきり可愛い服を用意して着せたから、絶対すぐわかるわ。じゃあ、もう空港、現場に着くから、切るね。ほんとありがと」
そう言って電話は切れた。