テキストサイズ

碧い雨の夜に…

第2章 【本能的に……】






可愛いスタンプ連打でOKの返事をしたらまたキレッキレのダンスで周りを魅了する。
触れ合うところも多々ある。
阿吽の呼吸でタイミングもバッチリ。
6人がそれぞれのパフォーマンスをする中でまとまっていくフォーメーションチェンジは我ながら格好良く収まってるんじゃないかと思う。




「オッケー!今回も一発撮り〜!」




小さくガッツポーズした私の頭をポンポンしてきたアキラ。
「格好良かったぞ」ってぶっきらぼうに言う。
汗を拭きながらグータッチすれば互いを称賛したことになるから楽だ。




「ヤバー!何今のフリ!超絶格好良過ぎんだけど!?」と皆からも良い反応が貰えました。
振り付けは大体2〜3回通して見れば完コピ出来る。




後片付け等していたらもう外もすっかり暗くなって20時に差し掛かる頃。
慌ててスタジオの外に出たら足が竦んで一瞬動けなくなるほど度肝を抜かれた。
ぞろぞろと仲間たちも外に出てきて、待っててくれたナオが私を見つけてやって来る。




“え…?誰…?イケメン” て声が近くで聞こえた。




ゆっくり、まるでスローモーションのように近付いて来るナオはとてもキラキラしていて私は目が離せない。
目の前まで来ると少し屈んで目線を合わせてくれる。
髪を撫でてニッコリ笑うんだ。




「リセちゃん、お疲れさま」




「え………ナオ、髪っ!?」




「あ、うん………切っちゃった、変かな?」




「ううん、似合ってる、見慣れないから一瞬誰かと思っちゃったよ」




びっくりした。
髪の毛切ってきたんだって。
事務所は了解済。
男としても撮りたいとずっと言われてたらしい。
丁度良い機会になったと笑ってた。




めちゃくちゃ短くなってる。
センター分けの前髪は少し長め、襟足はショートで男の子のヘアスタイルになってるじゃない。
それでも美しいって何なの。
身体は小さいと思っていたけど、チェスターコートだからちゃんと男に見える。




「イメチェンしたボク、どうかな?」




照れながら聞いてくるあざとさとかはやっぱりいつものナオだ。
私が答える前に周りを囲まれて「彼氏さんですか!?」って昨日の件を知らない後輩たちが口々に言う。








ストーリーメニュー

TOPTOPへ