碧い雨の夜に…
第2章 【本能的に……】
「誰?」とアキラが出て来た。
やっぱりわかんないか。
昨日居たメンバーもわかってないっぽい。
確かに劇的な変わりようだけどね。
「え、昨日会ったじゃん、ナオだよ」
「「えっ!?」」
見事なハモリようで2人して笑いそうになった。
「昨日ぶりです」ってナオが挨拶したら案の定「えー!!」の嵐。
「めっちゃイケメン!え、昨日の子なの!?」って煩いよ。
私だってびっくりしてるんだ。
まさか同じ人に2回一目惚れするなんてさ。
私、どっちでもイケんじゃんって。
「すみません、ボク、本当は男なんです、昨日のは仕事の一環というか」
ナオの方から打ち明けてきて、モデルをしていることもバレちゃった。
短かったな、2人だけの秘密。
ナオ曰く、アキラが居たから早めにカミングアウトしようと思ったみたいだけど。
心置きなく私にアプローチされても困るからって、もうそんなんじゃないのに。
「で、理世にお持ち帰りされちゃったんですね〜すみません、この子手癖悪くて」と昨日居たメンバーが茶化す。
どの角度から見ても王子様なナオは優しい笑顔で受け答えする。
周り囲まれて身動き出来ないじゃん。
そこをスッと通り抜けて黙って帰ろうとするアキラの背中。
バイクに跨りヘルメットを着けた瞬間、私も足が向いてしまい追いかける。
トントンしてこっちを向かせたらお節介にも「気をつけてね、また明日」とフルフェイスを覗き込む。
「彼氏に怒られるぞ」って捨て台詞。
うん、わかってる。
ナオは嫉妬深いけど勝手に動いてしまった。
すぐに戻るけど。
「彼氏は彼氏、あんたはバディ、一応、大事な仲間だから、明日も明後日も出来ればずっと、一緒に踊ってくれる唯一無二でしょ?」
「え〜俺で良いの〜?」
「ハイハイ、そういうこと、じゃあまた明日ね」とハイタッチしたらその手掴まれて一瞬離してくれなかった。
「行くよ」って言ったら離してくれたけど。
バイバイして囲まれてるナオの元へ戻ってく。
背中越しにエンジンふかす音がして、仲間たちも一斉にアキラにバイバイした。
「ねぇ、もう返してもらって良い?」とナオの手を引っ張る。
やっと2人きりにしてもらえて。
手を繋いで歩いてく帰り道。