Biastophilia💋
第1章 Biastophilia
それから程なくして、プレイ後、彼に告白されたの。
「私と付き合って下さい。貴方の為なら何でもしますから」って。
必死な形相だった。
「奥さんと子供を捨ててきたら、付き合ってあげる。」
そう意地悪く告げると、彼は弾かれたように顔を上げた。
動揺と緊張が走った顔だった。
そして彼が何かを言い出す前に「冗談よ。ごめんなさいね。」と謝って、女王様として適切な断り方をした。
本音を言えば、彼と付き合ってみたかった。
だけど、支配人が良い顔をしないし、交際がバレたら彼は最悪お店を出禁になる可能性もある。
今の関係性を保つのが一番だと思ったから、丁重にお断りしたの。
でも貴方は私にとって特別なお客様。
だから私の秘密を教えてあげると言って、
何故私が風俗店で働くようになったのか、その訳を口頭で伝えたの。
学生時代に、レイプ被害に遭って
警察にも言い出せずそこから「性嫌悪症」になり、
誰とも恋愛経験が出来ない、孤独な学生時代を味わったって。
そんな自分を変えたくて風俗の世界に足を踏み入れたって。
人には言えない職業だけど、お陰で過去のトラウマは払拭されて、天職としてこのお店で働けている。感謝しているって。
即興で作った身の上話を全て彼は信じてくれた。
ただ少々気掛かりだったのは、話を聞き終えた彼の瞳。
興奮を隠しきれない、異様な光を宿していたの。
だけど、こちらから指摘はしなかったの。
些細な事だと思い込んでしまったから。