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｢おはよう…蓮くん｣
朝、リビングに降りて来た俺に妻の茜は顔を綻ばせる。
｢おはよう…茜｣
茜とは小学校の頃からの幼馴染みで高校の時から付き合って、先月ようやく結婚したばかりだ。ふたりで朝食を取って仕事に出る、看護師の茜とはあまり一緒にいる時間は少ないけど、幸せな新婚生活を送れている。俺はスーツに着替え車に乗って赴任することになる高校に向かう。俺達が今暮らしている町はかなりの田舎で電車は2時間に一本、コンビニもひとつしかないと言う有様で、車がないと移動もキツい、周囲にに田園風景が広がっている。都会から移住して1週間が経ちようやく引っ越しも済んだ。茜もこの町唯一の総合病院で看護師を始め、俺も今日からたったひとつしかない高校の教師になる。



｢今学期からお世話になる日色　蓮です、よろしくお願いします｣
俺は職員室で同僚となる教職員の前で自己紹介をする。過疎っている田舎の高校とあってみんな俺より年上だった。職員会議を済ませ、入学式に参加するために体育館に向かう。前の高校より手狭な体育館に新入生合わせて全生徒95名が集まった。過疎っているせいで1学年に30名ほどしかいない。そのせいかかなり手狭な体育館に全生徒集まってもまだガラガラに空いている気がする。校長のそこそこ長い話に辟易する生徒達。
｢では次は新任教諭の挨拶です｣
俺は生徒会副会長の言葉と共に立ち上がり、壇上に上がる。壇上から生徒を見下ろす。
｢今日から皆さんの数学の授業を担当することになった日色　蓮です、よろしくお願いします｣
俺が自己紹介を済ませ、壇上から降りると生徒達はがやがやと騒ぎ始める。静粛にと生徒会副会長が声を荒げる入学式自体は滞りなく終わった。俺は自分が担当する2年生の教室に向かう。
｢じゃあ出席取るぞ、席に着け｣
俺が教室に入り、教壇に上がると生徒達が俺に興味を向ける。俺は生徒達の視線を受け止めつつ出席を取る、生徒少ないおかげですぐに出席を取り終え、自己紹介と連絡事項を伝える。
｢日色先生って結婚しているんですか?｣
坊主頭の男子生徒が俺の薬指に注目する。他の生徒も俺の薬指の指輪に気付いていたのか俺に興味津々だ。
｢……そうだよ｣
俺は肩をすくめる認めると。俺が結婚していることを認めるとクラスが騒がしくなる。