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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第1章 プロローグ

俺と倉田詩史(くらたしふみ)は
幼馴染。

同じ日に生まれ、 家は隣同士。

両親共に 仲が良く 
家族ぐるみのお付き合いだ。


詩史は 小さい頃から利発で 
同級生に比べたら とても しっかりした 
賢い子だった。

くりっとした目で 静観し、
透明感を纏う。

怒った顔も 凛と澄ました顔も 笑った顔も
綺麗で 可愛くて 見惚れていた。

気がついたら 
俺の中心は 詩史になっていた。

でも

俺は 詩史に 嫌われていた。

原因は 小学生になってから 知った。

詩史は 負けず嫌いで… 俺を敵視していた。

詩史に釣り合いたくて 努力した事が 
仇になっていた。

… 成程。

でも 俺は 焦る心を 
ポーカーフェイスで 崩さない。

余裕に振舞って 好成績で 詩史を負かし 
詩史の注目を 引きつける。

そうして 悔しがる詩史に
「好き」だと 言ってあげる。

詩史は困惑して… やっぱり俺を注目する。

詩史の隙を探して 緩んだ所に
撫でて 甘やかして 安心感を 植え付ける。

1歩 また1 歩… じわじわと 詩史を侵食する。

そうすると ほら…
段々 目が トロンとして来て…
気持ちいいでしょう?

いつまでも 意地を張ってないで
早く 俺の手に 堕ちればいいのに…

詩史は 警戒心を露わに 必死に 抵抗する。
俺の手の内に 堕ちる事を 怯えている様だ。

それは もう 好きって事でしょ…?



こうして… 
俺の日常は 毎日が 駆け引きだ。

あの手 この手で 構ってみるが
詩史は 計算通りに ハマらない。
身軽に スルリと 横切る。

まるで…  猫だ。



でも…
最後は 絶対に 捕えてみせる。

こんなに 可愛い猫は そうそう居ないからね。

俺の手の内に収めて… 

最後は 誰にも 触らせたくないなぁ…。

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