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飼い猫 🐈‍⬛🐾

第39章 待ち侘びて…

「ごめん♡ 詩史が必死で逃げるから
苛めたくなっちゃって…♡
…悠理に 嫉妬してたね♡」

憎たらしい程の 満面の笑みで
紫優くんは 私の乱れた髪を 掻き分けると
ちゅっと キスしてきた。


ズキ…っと 胸が 痛む。

「悠理くんにも… キスしたの?」

眉毛を下げて 心配すると
紫優くんは 一瞬 驚いた顔をしてから 
笑い出した。


「あれ? らしくないね…! 心配?
詩史以外に するワケないでしょ!
…でも 悠理には かなりの抑止力に
なるみたいだから… 
ほっぺた位なら してもいいかな♪」


紫優くんは 笑い飛ばすけど…
私は 笑えない。


「悠理くんだけにしてね…? ほっぺただけ だよ? 他の子には 嫌だよ…!」

本当は 悠理くんにだって 嫌だよ…!
と嫉妬する。


紫優くんは 更に 驚く様な顔をしてから
頭を撫でてきた。


「他の子になんかしないよ。 詩史だけ。」

「嘘! 関口さんとしたクセに!」

宥める様な 紫優くんの言葉に 苛立って…
ずっと 心に 引っ掛かっていた事を 口にする。

前に 教室で マネジャーの関口さんと キスしてたじゃない…!  


「あ〜… そんな事もあったね…。
でも 自分からは してないよ?」

全く 悪びれのない紫優くんに 益々苛立つ。

「そんな事は わかってる!
避けられたでしょ!紫優くんなら…
って言うか、 私が見てたの、知っていたでしょ?
ワザと だったでしょ?!」

「なんだ! バレてた?」


紫優くんの言葉に やっぱり!と納得するのに
ショックの方が大きい。


私への当て付けに キスしたなんて…


「何で…っ いつも いつも…! 
酷い…! 意地悪…っ!」

嫉妬から 昂ぶっていく苛立ちを 抑えられないで
いると…


「…詩史って 結構 独占欲 強いんだね…」

紫優くんの指摘に… 

昂ぶっていた 苛立ちは
一瞬にして 自分への 驚きと 戸惑いに 変わる。


え…? 独占?!! この 私が…?!
紫優くんを…?  嘘でしょ?!
そんな 女々しいモノ…
自分には 無縁なモノだと 思っていたのに…!


ガガーンと 1人で ショックを受ける私に
紫優くんは くすっと笑った。

「あーあ☆ また ワケわからなくなっちゃった?」


混乱する…
清楚で クールな優等生の私は 何処へ…?

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