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もうLOVEっ! ハニー!

第1章 生まれ変わり

 首に回された細い腕。
 サラサラの亜麻色の髪がふわっと視界に舞う。
「にゃーっ! なにこの可愛い生き物。ボクに頂戴! 陸になんか穢れさせてたまるもんか」
 半ば突き飛ばされた陸が、額に血管を浮き上がらせながら身を起こす。
「てんめぇはいつもいつもよ。一人宝塚してんじゃねえよ」
 状況が分からずに、眼をパチパチしていると、手が胸の方に這っていく。
「はい、自主規制ですよ。美弥さん」
「ボクは美緒だって言ってるでしょ、ナミナミ」
 なんとか見えた視界で、ロングヘアの美しい青年と、肩までの白髪で片目が隠れた男が現れる。
「おい、美弥連れてきたの誰だよっ」
「だからボクは美緒~。美弥じゃ女の子っぽくてやーだ」
「てめえは正真正銘」
「なーに?」
 少年ボイスから一気に低音に変わった美弥の迫力に場が凍る。
 なるほど。
 彼がボスというわけでしょうか。
「ごめーんみー。美弥連れてきたのおれでっす」
「誰かあいつの息の根止めてこい」
「かしこまりました」
「ちょっと待って! 奈己はだめでしょ! ちょっ、あん、やだあっ。こばる助けてぇ」
 また新しく出てきた青年が、瞬く間に奈己という男に羽交い絞めにされる。
「気が済むまでやっちゃえ、奈己にい。そのオカマは一回反省した方が良い」
 助けを求めたはずのこばるに手を振られ、そのまま廊下の奥に連れてかれる。
 誰だったのかもよくわからないままに。
 突然、首筋を爪でなぞられる。
「ひぃあっ」
「……もう、かんな可愛すぎるよー。ボクをどうしたいの? やりたいの? やられたいの? 愛されたいのお?」
「落ち着け。万年発情期」
 美弥がうっとりした目で首筋を撫でる。
 ぞくぞくとした快感に肩に力が入る。
「おい、奈己がいねえとこの一人宝塚止まんねえぞ」
「でも奈己にいは今、亜季の相手してっから」
 げんなりした顔の陸が毒づく。
「ここは変態溜まり場か」
「それをいっちゃあ、おしまいでしょー」
 ふっと温度が変わる。
 あ、これ。
 大人の温度。
 後ろからやってきた、白衣の男に目が奪われる。
「どうもね。管理人の隆人ですー」

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