もうLOVEっ! ハニー!
第7章 彼女の横顔
大きな指が肌を這う。
さっきまで父親になってほしいと思っていた男の人に触れられている。
そう考えると余計に心拍が早まった。
「りゅ……う」
「その震え声さ、クるんだよね」
見たことない瞳が私を捕らえている。
顎を上に向けさせられ、蛍光灯の灯りに目が刺激される。
しかし、視界を占めるのは隆人さんだけ。
ぎゅっと目を閉じたとき、バンッと壁を叩く音が木霊した。
恐る恐る目を開けると、あと数センチのところで止まった隆人の顔に気絶しそうになる。
なんて、綺麗な人なんでしょう。
間近で見たことがなかったせいか、その前髪にいつも隠されていた空気に当てられたせいか、その整った顔に目を引き付けられてしまう。
大きな瞳が静かに音の方へと向けられる。
「なにしてんだ……」
身を起こした隆人の向こうの人影に信じられず叫びそうになった。
「つつつ、つばる」
「早乙女つばるか。どうしたの?」
怒気を含んだ言葉に全く怯みもせず、むしろ怖いほど普段通りの返し。
ツカツカとつばるが間に割り入って、私の前に立った。
「ちょっとこいつに用があるんで」
「こんな夜更けに?」
「さっきあんたがしてたことに比べれば十分常識的だと思うけど」
「なんのことかな」
「夜中に生徒連れ込む場所か、ここは。優しい父親ぶっといて生徒食うんじゃ仕方ねえのな」
「ちょ……何言って」
「黙ってろ」
かちん。
それ、むかつきますよ。
ドンとつばるの背中を両手で押しのける。
油断していた彼は、勢いのまま隆人にぶつかった。
咄嗟に隆人がつばるを支える。
唖然とした二人がこちらを見る。
私は拳を握りしめて睨みつけた。
「私は! 貴方に指図されるいわれがある人間じゃないです!」
「は?」
「言いましたよね!? 新しい関係ですって」
「なんの話?」
「うっせえ!」
今度は隆人が突き飛ばすように手を離し、つばるがこちらに追いやられる。
「お前っ」
「陸といいさあ、問題児多いよね。まあ今は酔ってるし勤務時間外だから口うるさく言わないけど。目上に対する礼儀くらいはもったら?」
今度は、確かに管理人の顔で。
つばるも少し圧され、舌打ちしながら頭を下げ、私の手を引いて部屋を出た。
「またね」
扉を抜ける瞬間、隆人さんの声が私を背後から貫いた、そんな感覚がしました。
振り向いたら、立ち止まりそうで。
さっきまで父親になってほしいと思っていた男の人に触れられている。
そう考えると余計に心拍が早まった。
「りゅ……う」
「その震え声さ、クるんだよね」
見たことない瞳が私を捕らえている。
顎を上に向けさせられ、蛍光灯の灯りに目が刺激される。
しかし、視界を占めるのは隆人さんだけ。
ぎゅっと目を閉じたとき、バンッと壁を叩く音が木霊した。
恐る恐る目を開けると、あと数センチのところで止まった隆人の顔に気絶しそうになる。
なんて、綺麗な人なんでしょう。
間近で見たことがなかったせいか、その前髪にいつも隠されていた空気に当てられたせいか、その整った顔に目を引き付けられてしまう。
大きな瞳が静かに音の方へと向けられる。
「なにしてんだ……」
身を起こした隆人の向こうの人影に信じられず叫びそうになった。
「つつつ、つばる」
「早乙女つばるか。どうしたの?」
怒気を含んだ言葉に全く怯みもせず、むしろ怖いほど普段通りの返し。
ツカツカとつばるが間に割り入って、私の前に立った。
「ちょっとこいつに用があるんで」
「こんな夜更けに?」
「さっきあんたがしてたことに比べれば十分常識的だと思うけど」
「なんのことかな」
「夜中に生徒連れ込む場所か、ここは。優しい父親ぶっといて生徒食うんじゃ仕方ねえのな」
「ちょ……何言って」
「黙ってろ」
かちん。
それ、むかつきますよ。
ドンとつばるの背中を両手で押しのける。
油断していた彼は、勢いのまま隆人にぶつかった。
咄嗟に隆人がつばるを支える。
唖然とした二人がこちらを見る。
私は拳を握りしめて睨みつけた。
「私は! 貴方に指図されるいわれがある人間じゃないです!」
「は?」
「言いましたよね!? 新しい関係ですって」
「なんの話?」
「うっせえ!」
今度は隆人が突き飛ばすように手を離し、つばるがこちらに追いやられる。
「お前っ」
「陸といいさあ、問題児多いよね。まあ今は酔ってるし勤務時間外だから口うるさく言わないけど。目上に対する礼儀くらいはもったら?」
今度は、確かに管理人の顔で。
つばるも少し圧され、舌打ちしながら頭を下げ、私の手を引いて部屋を出た。
「またね」
扉を抜ける瞬間、隆人さんの声が私を背後から貫いた、そんな感覚がしました。
振り向いたら、立ち止まりそうで。