もうLOVEっ! ハニー!
第7章 彼女の横顔
一番に二桁に達したのは岳斗だった。
続いてつばると、陸が手を伸ばす。
体格差も大きいのか、美弥は八個で立ち止まっていた。
随時隆人から水が補給され、清龍がそれを配る。
そういえば、清龍先輩は出てないんですね。
「これって何か景品あったりするんですか」
「あー。確か今年はこのキャンプ場のコテージペア宿泊券じゃなかったか? 今夜の」
「ええっ!?」
あのテントに全員入るはずはないとは思ってはいましたが。
森の方を振り返る。
ぽつん、といくつかコテージが聳えたっている。
あそこに泊まるんですね。
「いいですねえ」
尚哉がぴくりと眉を上げる。
「おい。わかってんのか?」
「はい?」
大げさに溜息を吐いて私の頬を摘まむと、くいっと先輩方の方に向けられた。
「この場に女は何人だ?」
「ほえ? ふひゃり……」
口が上手く動かせないので呂律が回らない。
「まともな女はなる先生か、かんな。お前だけだ」
手が外される。
じんじんとする頬を摩りながら言葉の意味を考える。
ポクポクポク……
チーン。
とは、いきません。
「どういうことですか?」
「はあ……天然もここまできたら凄いな。選手は全員心の性別含めて男だろ?」
「はい」
「ペアチケットってことは異性が二人で泊まるわけだろ?」
「……は、い」
だんだんと理性が勘付き始める。
「奈己と亜季がいたら別だったが、優勝者は必然的にお前を選ぶ」
「だってなる先生の可能性も……」
「気づけよっ! あいつら、全員お前に惚れてるだろうが」
言ってからはっとするように尚哉が口を押さえた。
そして、その声を耳にした清龍がこちらを睨むように見た。
しかし、私にはその言葉しか頭に響かなかった。
惚れてる?
誰が?
皆さんが?
私に?
何を言ってるんですか。
意味なく笑いが洩れてしまう。
「ふふ」
「何笑ってんだよ」
「だって先輩誤解しすぎですよ」
「おま……はああああ、あいつらも大変だなっ」
苛ただしく灰色の髪を掻き毟る尚哉を横目にマシュマロの串を取る。
良い焼け具合。
それを咥えて舐めながら、誰が勝つのかぼんやりと考えた。
これでもしつばるが勝ったら……
ガク先輩が勝ったら……
ぼんやりとした想像は、形を為すこともなく浮かんでは消えた。
続いてつばると、陸が手を伸ばす。
体格差も大きいのか、美弥は八個で立ち止まっていた。
随時隆人から水が補給され、清龍がそれを配る。
そういえば、清龍先輩は出てないんですね。
「これって何か景品あったりするんですか」
「あー。確か今年はこのキャンプ場のコテージペア宿泊券じゃなかったか? 今夜の」
「ええっ!?」
あのテントに全員入るはずはないとは思ってはいましたが。
森の方を振り返る。
ぽつん、といくつかコテージが聳えたっている。
あそこに泊まるんですね。
「いいですねえ」
尚哉がぴくりと眉を上げる。
「おい。わかってんのか?」
「はい?」
大げさに溜息を吐いて私の頬を摘まむと、くいっと先輩方の方に向けられた。
「この場に女は何人だ?」
「ほえ? ふひゃり……」
口が上手く動かせないので呂律が回らない。
「まともな女はなる先生か、かんな。お前だけだ」
手が外される。
じんじんとする頬を摩りながら言葉の意味を考える。
ポクポクポク……
チーン。
とは、いきません。
「どういうことですか?」
「はあ……天然もここまできたら凄いな。選手は全員心の性別含めて男だろ?」
「はい」
「ペアチケットってことは異性が二人で泊まるわけだろ?」
「……は、い」
だんだんと理性が勘付き始める。
「奈己と亜季がいたら別だったが、優勝者は必然的にお前を選ぶ」
「だってなる先生の可能性も……」
「気づけよっ! あいつら、全員お前に惚れてるだろうが」
言ってからはっとするように尚哉が口を押さえた。
そして、その声を耳にした清龍がこちらを睨むように見た。
しかし、私にはその言葉しか頭に響かなかった。
惚れてる?
誰が?
皆さんが?
私に?
何を言ってるんですか。
意味なく笑いが洩れてしまう。
「ふふ」
「何笑ってんだよ」
「だって先輩誤解しすぎですよ」
「おま……はああああ、あいつらも大変だなっ」
苛ただしく灰色の髪を掻き毟る尚哉を横目にマシュマロの串を取る。
良い焼け具合。
それを咥えて舐めながら、誰が勝つのかぼんやりと考えた。
これでもしつばるが勝ったら……
ガク先輩が勝ったら……
ぼんやりとした想像は、形を為すこともなく浮かんでは消えた。