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もうLOVEっ! ハニー!

第9章 本性探し


「は? いじめ?」
 かんなを保健室に連れたあと、教室でこばるに報告した。
 増えたピアスをいじりながら、予習のノートを乱暴に閉じる。
「覚えてるだろ。初めて会ったときと、暴露ゲームの話。前の学校で……」
 頑なに生まれ変わると示した彼女を忘れたことは二人ともなかった。
 あの強さ、切ない想いを秘めた強さが惹き付けられる一因なのだから。
 こばるはつばるの名前を出しかけて口をつぐんだ。
 そんなはずない。
 あいつが姑息な手段なんて。
 大体理由もないだろう。
 なら、他にかんなの過去を知る誰かが。
「俺達はさ、寮の中しか知らないから」
「クラスか。入学式の時そんな感じしなかったけどな」
 歓声を浴びていたつばると薫。
 華海都寮の新入生は一気に注目を集めた。
 だが、かんなだけは別だった。
 まさか、それが?
「三陸さ、村山ちゃんと仲良いだろ。ちょっと聞いてみれば?」
 その名前が出た途端、陸が顔を曇らせた。
「なんだよ」
「いや……確かに良い方法だけど。俺、あの子に告白されてんだよね」
「はあ!?」
「返事はまだしてない……」
 勘の鋭いこばるはそれだけで悟った。
「お前、かんなちゃんに望みあるか見極めてから答える気なんだろ」
 教室の喧騒も遠退いて、二人は無言で睨み合った。
 本音を突かれた動揺と怒りと、恥を知れとばかりに煮えたぎる親友への憤り。
 数秒の沈黙が、体感で分を超える。
「……なんでもわかってるな、こばるは」
「お前以上にな」
 村山薫。
 いつの間に……?
 こばるは口を押さえて考える。
 何か、引っ掛かる。
 ガク先輩の告白の翌日に、かんなに対して唐突な悪戯と、村山薫の告白。
 関係ない、か。
 考えすぎか?
「お前、村山ちゃんのこと好きなの?」
「それ言うか……」
「オレ苦手なんだよな。なんか、女子高生っぽすぎるとこが」
「確認しとくけど、かんなも薫も女子高生だよ?」
「種類がちげーの」

 

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