もうLOVEっ! ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出
どうして。
私の身の回りを汚すだけでは飽き足らず。
どうしてこんなことを。
「せんせ、これ校内の倉庫っぽいすよね」
送られてきた画像をプリントアウトした紙を、ヒラヒラと見せるこばる。
受け取った鳴海の目が鋭く端から端まで確かめる。
「右上に見えるの、なにかの垂れ幕ね」
「奈巳、これ見覚えない?」
亜季が耳打ちをすると、白い髪をかき上げて紙面に目を落とす。
「これは……大道具倉庫なのは見てわかると思うんですが。左に並んでいるのが合唱用のステップ台ですね。金属の長いアレです」
「てことは、音楽関係をしまってある倉庫だから……本館の裏手の、部室棟のあたりじゃないかにゃ」
まだ校内の地図が頭に入ってないので着いていけませんが、皆さん一様に頷いていました。
部活に興味なくても部室棟の方も見るべきですね。
鳴海が手をパンと打ち鳴らす。
「汐里と錦と、手毬とこばるの四人で見に行ってくれるかな。女性陣は保健室に一時避難。廊下に残りの男子は立って見張ってて欲しい。偵察班は九時までには帰ってきて」
心底不服そうに舌打ちしつつも、つばるは反論しなかった。
万が一、こちらに来た場合に最初に行動できるのが自分だと判断したのでしょう。
兄のことを信頼している表れかもしれません。
「司! お前は俺の代わりに朝飯作っててくれ。食堂には来ないだろ」
指名された司が自信満々に頷くが、即座にルカが否定の声を上げる。
「とりあえず九時までは単独行動は控えるべきです。米の釜を急いで運んでもらえば、保健室の中で女性陣が握りますよ」
「え! ルカおにぎり握んの! 食べたすぎ」
露骨な反応をする亜季を冷たく見下ろす視線。
奈巳さんの独白を思い出して寒気がしました。
「ほな、行くわ。こばる、バット」
「正当防衛以外で使うなよ。保護者がついていながら有事になったら始末書じゃ済まないからな」
「使わんわ。少年院は一度でええ」
「ガク先輩、笑えないんだわ」
冗談、ということですよね。
笑えない冗談ですよね。
合ってますよね。
先頭に汐里が立ち、四人は肩を怒らせて出ていく。
残された面々は顔を見合わせてから、保健室に向かった。
せっかくのイベントなのに。
こんな私情でぶち壊されてしまうなんて。
申し訳無さに身を縮ませていると、隣に美弥さんがくっついてきました。