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幸せな報復

第24章 幸せな報復 


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「うっそー……。どうしてこんなフツメンにドキドキしちゃうの? わたしの美的センス、壊れたのかしら?」

 恵美は、浩志が大学の同級生だと知ったときから、どうにも胸の高鳴りを抑えられなくなっていた。

 宿敵・勘太郎に近づくため、その息子である浩志を利用する。
 ただ、それだけのつもりだった。

「落ち着くのよ、恵美。これは作戦なんだから」

 そう自分に言い聞かせても、浩志の顔を見るたびに心臓が妙に騒がしくなる。

 どうして?

 こんなはずではなかった。

 本来なら、こんな回りくどいことをする必要などない。

 恵美の中に潜むエルザには、人を惹きつけ、意のままに操るほどの潜在能力が備わっている。その力を使えば、浩志や勘太郎を自分の思いどおりにすることだってできた。

 だが、恵美は自分がそんな特殊な能力を持っていることを知らない。
 母・義美から何も聞かされていないのだから、知りようもなかった。

 そして、その義美もまた、母・沢子から「けだもの族」の存在を一切知らされていなかった。

 数万年もの歴史を持つ、けだもの族。

 そんな途方もない話を聞かされたところで、義美が信じるはずもない。

 ただ、けだもの族の女性たちが、例外なく人目を引くほどの美女だということだけは、誰が聞いても納得できる話だった。


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