
幸せな報復
第24章 幸せな報復
*
そして迎えた卒業式。
「恵美さん。僕と結婚してください」
浩志は、恵美に正式にプロポーズした。
――と、言えば聞こえはいい。
だが実のところ、大学在学中から、浩志が恵美を意識するように仕向けていたのは、エルザだった。
もちろん、その事実を恵美自身は知らない。
「ねえ、エルザ。浩志くんのこと……どう思ってるの?」
そんな問いを、恵美が口にしたことは一度もない。
なぜなら、自分の中にエルザという別の人格が存在していることさえ、彼女にははっきりと自覚できていなかったからだ。
入学式の日、浩志を最初に気に入ったのは恵美だったのか。
それとも、エルザだったのか。
もはや、そんなことはどうでもよかった。
エルザが浩志に近づくよう恵美の背中を押したのか。
それとも――。
恵美自身が浩志を気に入ったものの、男性に対して積極的になれない自分に代わって、エルザに行動させたのか。
どちらが始まりだったのか、今となっては誰にも分からない。
ただ一つ確かなことがある。
恵美も、エルザも――いつの間にか、浩志のことを好きになっていた。
二人の想いは、もうどこからどこまでが自分のものなのか、区別できないほど重なっていた。
そして迎えた卒業式。
「恵美さん。僕と結婚してください」
浩志は、恵美に正式にプロポーズした。
――と、言えば聞こえはいい。
だが実のところ、大学在学中から、浩志が恵美を意識するように仕向けていたのは、エルザだった。
もちろん、その事実を恵美自身は知らない。
「ねえ、エルザ。浩志くんのこと……どう思ってるの?」
そんな問いを、恵美が口にしたことは一度もない。
なぜなら、自分の中にエルザという別の人格が存在していることさえ、彼女にははっきりと自覚できていなかったからだ。
入学式の日、浩志を最初に気に入ったのは恵美だったのか。
それとも、エルザだったのか。
もはや、そんなことはどうでもよかった。
エルザが浩志に近づくよう恵美の背中を押したのか。
それとも――。
恵美自身が浩志を気に入ったものの、男性に対して積極的になれない自分に代わって、エルザに行動させたのか。
どちらが始まりだったのか、今となっては誰にも分からない。
ただ一つ確かなことがある。
恵美も、エルザも――いつの間にか、浩志のことを好きになっていた。
二人の想いは、もうどこからどこまでが自分のものなのか、区別できないほど重なっていた。

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