テキストサイズ

幸せな報復

第24章 幸せな報復 

「ああ、浩志くん……。私を愛してくれて、ありがとう。私もあなたが好きよ……。大好き」

 恵美は、浩志が自分を愛してくれていることが嬉しかった。

 容姿が特別に優れているわけでもない。けれど、そんなことは関係ない。自分を大切にしてくれる浩志の気持ちが、何より嬉しかった。

 ――人は見た目じゃないもの。

 そう思ったとき、心の奥から別の声が聞こえてきた。

「ふふっ。ずいぶん嬉しそうじゃない」

「エルザ……」

「あんな浩志くんを好きにさせて、すっかり有頂天ね。愚かな女だこと」

 からかうようなエルザの声に、恵美は少しだけむっとした。

「ふん、どうとでも言って。浩志くんが私を愛してくれているのは、あなたのおかげでもあるんでしょう?」

「そうよ。少しくらい感謝してほしいわね」

「はいはい。ありがとう、エルザ」

「……それだけ?」

「じゃあ、もっと言おうか?」

「いらないわ」

 エルザは憤慨したように言ったが、その声にはどこか嬉しそうな響きがあった。

 恵美も、それに気づいていた。

 浩志のことを話しても、もう二人が本気で言い争うことはない。
 浩志を愛しているという気持ちは、恵美にとってもエルザにとっても、いつしか共通のものになっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ