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幸せな報復

第24章 幸せな報復 

「わたし……あなたと一緒にいられることが、本当に嬉しいです」

 恵美は少しだけためらってから、勘太郎を見つめた。

「勘太郎さん……あのときみたいに……もう、わたしから逃げないでくださいね」

 その言葉を口にした瞬間、恵美の脳裏に、ある日の出来事が鮮明によみがえった。

 ――あの日。

 以前、勘太郎から、妻の仁美と自分が瓜二つだと告げられたことがあった。

 その真相を確かめるため、恵美は久しぶりに母・義美の家へ帰った。

「お母さん……どうして、わたしをこの町に住ませたの?」

 恵美は母に尋ねた。

 勘太郎と出会ってから、恵美の心は苦しみ続けていた。

 初めは、勘太郎に対する怒りなのだと思っていた。

 自分を傷つけた、憎い痴漢男。

 どうすれば彼を懲らしめることができるのか――。

 恵美の頭の中は、そればかりでいっぱいだった。

 ところが、いつの間にか、自分がなぜ彼を懲らしめたいのかさえ分からなくなっていた。

 ただ、勘太郎のことを考えるだけで胸が苦しくなる。

 その理由が、自分でも分からなかった。

「わたし……本当に、この人を懲らしめたいのかしら?」

 恵美は、苦しい胸の内を母に打ち明けた。

 胸が締めつけられるような感覚を覚えたのは、生まれて初めてだった。

 恵美の言葉を聞いた義美は、しばらく黙っていた。

 そして、今まで恵美が見たこともないような、ただならぬ表情を浮かべた。

 ゆっくりと口を開く。

「わたしには……双子の……姉がいるのよ……」

「えっ……?」

 恵美は息をのんだ。

「おばさん……?」

 そのとき初めて、恵美は母から、自分にとっての伯母――母に双子の姉がいることを知らされた。

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