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どこまでも玩具

第2章 荒らされた日常

 ガラ。
「失礼しゃーす」
 金原と紅乃木が保健室に着いた。
「おや、どうしたの?」
 それを笑顔で迎える類沢。
「……瑞希、来てないすか」
 キイ。
 類沢が椅子を回してベッドを示した。
 その途端、二人は強張る。
「類沢センセ……」
「あ、アカに金原。わざわざ来たの?」
 金原の低い声が言葉を綴る前に、宮内が現れる。
「瑞希っ」
「みぃずき、平気?」
 二人に駆け寄られて当惑する宮内。
「大丈夫だって……」
 その目にうっすら涙が浮かんでいた。

「……なにされた?」
 無言で廊下に出るや否や、金原が俺に耳打ちする。
「いや、別に」
 ガシッ。
 アカが首に手を回す。
 その鮮やかな髪に見とれつつ、鋭い視線を受け止める。
「金原も俺も一限サボってみぃずき探してた訳。そんな俺らに嘘つく気?」
 俺は震える脚を何とか支える。
 まだ二限が終わってないので、廊下には三人だけだ。
「だから……何を疑って」
「篠田になにされたわけ?」
 核心を突かれて言葉が詰まる。
 力を抜けば、座り込んで泣き叫んでしまいそうだ。
 アカがじっと濡れた目を見つめるものだから、恥ずかしくなる。
「みぃずき、泣いてるよ」
「……」
「とりあえず、ここじゃあれだろ。部室行こうぜ」
 金原の提案で、三人は引退したバスケ部の部室に向かった。

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