どこまでも玩具
第11章 立たされた境地
冬季課外は出席しないことにした。
学校だろうと関係ない。
なにかが起きる。
そんなときに勉強なんてしていられない。
金原は全日程参加するらしい。
推薦が決まったというのに。
聞けば、課題があるのだと。
決まった奴も楽じゃない。
「宮内。ちょっと職員室に来い」
これほど篠田を鬱陶しいと思ったことはない。
俺は一回着たコートを脱いで、職員室に向かった。
「なんでしょうか」
「なんの用かはわかってるだろう」
周り中で二者面談が行われている。
「進路、ですか」
「ああ」
篠田がパンフレットを取り出す。
資料も。
「今の学力で行ける大学だ。そのまま文系でいいのか」
「はい」
替える理由もない。
「何か見つかったか、やりたいことは」
「それどころじゃないっていうか……」
「は?」
「あ、いえ」
大きな溜め息を吐かれる。
俺の悩みの発端にあんたもいるんだぞと云いたくなる。
「教師は?」
「教師?」
「就職は公務員が一番いい。教員免許は持っていて損するもんじゃない」
違うことが浮かぶ。
「免許ってどういう時に剥奪されるんですか」
パンフレットで叩かれた。
「話を逸らすな」
「逸らしたつもりはないですが」
「お前は国語が得意だからな。人文か教育系統が向いてるよ」
「そうですか」
「他人事に言うな。ほら」
資料を渡される。
なかなか厚い。
「冬休みで決めろ。いいな」
職員室から出る。
コートを羽織る。
肩が痛い。
緊張していたのか。
篠田相手に。
いや、違う。
類沢のことが気になって、だ。
玄関に歩く。
「瑞希」
ぞわぁっと鳥肌が立った。
鞄を握り、深呼吸をする。
ここは学校。
狼狽える必要はない。
「な、んですか……雛谷先生」
「話があるんだけど、いいかなぁ」
大迷惑だ。
でも、答えは一つ。
「はい」
化学準備室に入る。
俺はまたコートを脱いだ。
隣で部活をやっているらしく、少し安心する。
ガラガラ。
扉を閉める。
大丈夫。
密室じゃない。
いざとなれば逃げられる。
「何も言わないってことは、類沢先生の復讐を知ってるんだねぇ」
俺は無言で応えた。
「ま、それはいいや。話したいことは他にあって…」
雛谷は机に腰掛け、俺に椅子に座るよう指示をする。
学校だろうと関係ない。
なにかが起きる。
そんなときに勉強なんてしていられない。
金原は全日程参加するらしい。
推薦が決まったというのに。
聞けば、課題があるのだと。
決まった奴も楽じゃない。
「宮内。ちょっと職員室に来い」
これほど篠田を鬱陶しいと思ったことはない。
俺は一回着たコートを脱いで、職員室に向かった。
「なんでしょうか」
「なんの用かはわかってるだろう」
周り中で二者面談が行われている。
「進路、ですか」
「ああ」
篠田がパンフレットを取り出す。
資料も。
「今の学力で行ける大学だ。そのまま文系でいいのか」
「はい」
替える理由もない。
「何か見つかったか、やりたいことは」
「それどころじゃないっていうか……」
「は?」
「あ、いえ」
大きな溜め息を吐かれる。
俺の悩みの発端にあんたもいるんだぞと云いたくなる。
「教師は?」
「教師?」
「就職は公務員が一番いい。教員免許は持っていて損するもんじゃない」
違うことが浮かぶ。
「免許ってどういう時に剥奪されるんですか」
パンフレットで叩かれた。
「話を逸らすな」
「逸らしたつもりはないですが」
「お前は国語が得意だからな。人文か教育系統が向いてるよ」
「そうですか」
「他人事に言うな。ほら」
資料を渡される。
なかなか厚い。
「冬休みで決めろ。いいな」
職員室から出る。
コートを羽織る。
肩が痛い。
緊張していたのか。
篠田相手に。
いや、違う。
類沢のことが気になって、だ。
玄関に歩く。
「瑞希」
ぞわぁっと鳥肌が立った。
鞄を握り、深呼吸をする。
ここは学校。
狼狽える必要はない。
「な、んですか……雛谷先生」
「話があるんだけど、いいかなぁ」
大迷惑だ。
でも、答えは一つ。
「はい」
化学準備室に入る。
俺はまたコートを脱いだ。
隣で部活をやっているらしく、少し安心する。
ガラガラ。
扉を閉める。
大丈夫。
密室じゃない。
いざとなれば逃げられる。
「何も言わないってことは、類沢先生の復讐を知ってるんだねぇ」
俺は無言で応えた。
「ま、それはいいや。話したいことは他にあって…」
雛谷は机に腰掛け、俺に椅子に座るよう指示をする。