どこまでも玩具
第3章 枯らされた友情
購買から戻ってきて、パンを噛みながら悩んだ。
どちらにワケを訊こうかを。
放課後俺は紅乃木のところに駆けていった。
「アカ、一緒帰んね」
鞄を整理していた紅乃木が迷うように俺の背後を見る。
「金原は先帰ったよ」
「……そっか」
教室を出て、校門に着く。
類沢が何も仕掛けてこない平和な日だったのにモヤモヤする。
「みぃずき、ごめん」
紅乃木はそう切り出した。
「え?」
俺は立ち止まって、紅乃木の俯いた頭を見る。
朱髪が、夕日に照らされさらに色を深めている。
「みぃずき……最低なことしちゃったんだ」
紅乃木の真剣な態度に、俺は人目を気にして公園に向かった。
通学路から少し奥まった場所にあるので、誰かに聞かれる心配は無いだろう。
向かいながら、まるで昨日と立場が逆だと思ってしまった。
相談して。相談にのって。
そうして今まで三人でやってきて。
だが、俺は立ち尽くす友の姿に肩が強ばるのを感じた。
紅乃木は瞬き一つせずに目の前の空気を睨んでいた。
「ア……カ?」
数秒して、ゆっくりその瞳がこちらをとらえる。
今、どこにいるのか忘れる瞬間だった。
ただ事じゃない。
それだけは痛感した。
怖じ気づきながらも、唾を飲み込み紅乃木を促す。
重たい唇が何を告げるのか、全身が聞き耳を立てた。
「……金原を助けらんなかった」
カナハラヲタスケランナカッタ。
俺の脳がそれを認識するのに随分時間がかかった。
「なに言って」
だが、もう気づいてた。
金原は昨日復讐を宣言していたから。
「昨日の夜、七時だった」
「類沢が?」
こくん。
紅乃木は力なく肯定した。
世界がクルクル回ってる。
もしくは俺の目がグルグル回ってるのかも知れない。
視界がはっきりしない。
「アカ……は?」
夕日が沈む。
静かな街並みが黒く染まってゆく中で、バクバク心臓の音が響く。
紅乃木は頭を振った。
「よかっ……」
良かった。
その言葉が続かなかった。
どっちなんだろう。
嬉しいのか、苦しいのか。
どちらにワケを訊こうかを。
放課後俺は紅乃木のところに駆けていった。
「アカ、一緒帰んね」
鞄を整理していた紅乃木が迷うように俺の背後を見る。
「金原は先帰ったよ」
「……そっか」
教室を出て、校門に着く。
類沢が何も仕掛けてこない平和な日だったのにモヤモヤする。
「みぃずき、ごめん」
紅乃木はそう切り出した。
「え?」
俺は立ち止まって、紅乃木の俯いた頭を見る。
朱髪が、夕日に照らされさらに色を深めている。
「みぃずき……最低なことしちゃったんだ」
紅乃木の真剣な態度に、俺は人目を気にして公園に向かった。
通学路から少し奥まった場所にあるので、誰かに聞かれる心配は無いだろう。
向かいながら、まるで昨日と立場が逆だと思ってしまった。
相談して。相談にのって。
そうして今まで三人でやってきて。
だが、俺は立ち尽くす友の姿に肩が強ばるのを感じた。
紅乃木は瞬き一つせずに目の前の空気を睨んでいた。
「ア……カ?」
数秒して、ゆっくりその瞳がこちらをとらえる。
今、どこにいるのか忘れる瞬間だった。
ただ事じゃない。
それだけは痛感した。
怖じ気づきながらも、唾を飲み込み紅乃木を促す。
重たい唇が何を告げるのか、全身が聞き耳を立てた。
「……金原を助けらんなかった」
カナハラヲタスケランナカッタ。
俺の脳がそれを認識するのに随分時間がかかった。
「なに言って」
だが、もう気づいてた。
金原は昨日復讐を宣言していたから。
「昨日の夜、七時だった」
「類沢が?」
こくん。
紅乃木は力なく肯定した。
世界がクルクル回ってる。
もしくは俺の目がグルグル回ってるのかも知れない。
視界がはっきりしない。
「アカ……は?」
夕日が沈む。
静かな街並みが黒く染まってゆく中で、バクバク心臓の音が響く。
紅乃木は頭を振った。
「よかっ……」
良かった。
その言葉が続かなかった。
どっちなんだろう。
嬉しいのか、苦しいのか。