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雨とピアノとノクターン

第10章 暗躍編:借り

じらすようにされる愛撫に鳴海は仰け反り、佐屋に貫かれて失神しそうになる。
「佐屋ぁ……気持ちいい……こんな………ヤバい、イク……はぁ……」
 無意識に媚態をさらす鳴海に思わず佐屋も衝動的になった。
「……鳴海。愛してるよ……忘れないで。僕はいつも君を……」
 震えるような快楽の瞬間、鳴海は気絶してしまっていた。ちょっと虐めすぎたようだ、と佐屋は苦笑した。
「……そのまま眠るといいよ、鳴海。ずっと一緒にいられるようにあともう少しだけ我慢してくれ」
 佐屋はシャワーを浴びに浴室へと入っていった。両親が亡くなってから絶対に高校だけは真面目に通う誓いを立てた彼だったが、今日はとうとう遅刻してしまう。
 それでも、後悔はするまいと思った。大切なひととのかけがえのない時間のためなら、亡くなった両親も何処かで苦笑いしながら許してくれるのではないかと思ったのだった。

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