雨とピアノとノクターン
第10章 暗躍編:借り
この日、青葉学園高校は“防災訓練”という必須行事が入っていた。近年懸念される大地震を想定しての行政からの要請の下、生徒会が主催して起震車が校庭に呼ばれたり、白煙を焚いて迷路のような通路を上手く脱出出来るかなどの訓練が執り行われるのだ。
「いやぁ、災害に対する備えは日ごろからきちんとやっておくことが大事ですなぁ」
ほぼ観客のように来賓テントの中でPTAのお歴々が出された茶をすすりながら談笑をしている。そんな来賓を後目に青葉の生徒会役員たちは佐屋の指示を受けてあちこちに散らばっていく。
「では、非常食のアルファ米とクラッカーの配布は実演後によろしく」
「はい、わかりました、会長」
「放水車が来たら僕自身が消防隊員に誘導するから、よろしく」
「はい。だったら起震車の駐車位置はここで大丈夫ですね」
「ああ、完璧だ。頼むよ」
「承知しました」
そして約一名が非協力的にブラブラと歩いている。副会長の薬師寺宏だ。
「いやぁ、災害に対する備えは日ごろからきちんとやっておくことが大事ですなぁ」
ほぼ観客のように来賓テントの中でPTAのお歴々が出された茶をすすりながら談笑をしている。そんな来賓を後目に青葉の生徒会役員たちは佐屋の指示を受けてあちこちに散らばっていく。
「では、非常食のアルファ米とクラッカーの配布は実演後によろしく」
「はい、わかりました、会長」
「放水車が来たら僕自身が消防隊員に誘導するから、よろしく」
「はい。だったら起震車の駐車位置はここで大丈夫ですね」
「ああ、完璧だ。頼むよ」
「承知しました」
そして約一名が非協力的にブラブラと歩いている。副会長の薬師寺宏だ。